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『私の胸は小さすぎる』
詩人・谷川俊太郎が綴る「恋の詩」のアンソロジー

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足元が確認しやすい。仰向けになっても苦しくない。バッグがくいこまない。肩がこりにくい。人とすれ違う時、無造作でいられる。ほふく前進しやすい。痴漢に遭う確率が低い。あせもが出来にくい。痩せて見える。ペチャパイって、良い事だらけですよね。

しかし、詩人・谷川俊太郎は、詩集『私の胸は小さすぎる』で別にそんなことを言っているワケではありません。


『私の胸は小さすぎる』
谷川俊太郎
谷川俊太郎というと、日本では詩人としてよりも翻訳家として有名なのではないでしょうか。彼が何十年もの間翻訳し続けた漫画『ピーナッツ』(スヌーピーが出て来るアメリカの漫画です)は、現在も多くの日本人読者を増やし続けています。

それはつまり、彼のボキャブラリ、言葉のチョイスにおけるセンスなどが巧みでありまた「普遍的な良さ」を備えている証左でありましょう。そしてそれは詩集『私の胸は小さすぎる』においても全く揺るぎ無いのです。

この詩集は、装丁からもお分かりかと思いますが、谷川俊太郎が「恋愛」を綴った詩の集合になっています。あまり知られていませんが、実は氏は無類の女好き(語弊があるかもしれませんが)。御年八十一を数える氏ですが、これまでに三度の結婚を経験しています。

言うなれば、一生を恋と過ごした男・谷川俊太郎。その彼が恋を詠うワケですから、ただポエティックな青臭さをたたえただけの詩集であろうはずがありません。

淡い恋心。情愛。そしてセックス観にいたるまで、恋愛にまつわるほぼすべての要素に、氏が自身の剥き出しの感性と言葉で挑んでいます。どれだけ大きな胸を持つ者でも、抱えきれないほどの切なさと愛しさと昂り。『私の胸は小さすぎる』に綴られたいずれの言葉も、あなたの心の奥のそれらときっと共鳴するはずです。




参考資料:ブリーフ&トランクス『ブリトラの反乱』株式会社ダイプロ・エックス(2000)


作品情報

・作者:谷川俊太郎
・出版:角川学芸出版(2010)
・作者公式サイト:谷川俊太郎.com







 

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