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■ 10月31日~11月29日にかけて、「2017年のポップス」をフィーチャーします







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『Kissよりおいしいお菓子を教えて』
千秋の詩は、総ての女性の心に潜むキュートと魔性を詠う

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『Kissよりおいしいお菓子を教えて』は、蜷川実花の写真とコラボレートした、日本のタレント・千秋の詩集です。

およそ今20代後半以上の人ならば、1996年にバラエティ番組から誕生しミリオン・セールスを連発した元祖エア・バンド「ポケット・ビスケッツ」を知らない人はいないでしょう。千秋はそのほとんどの楽曲の歌詞とヴォーカルを担当していました。

いくら音楽業界がバブルに沸いていた時代とはいえ、なぜ企画モノのグループがそれほどまでに支持されたのか? それはひとえに、曲の良さもありますが、千秋の詞が独特の「女の子らしさ」の哲学と詩情に満ちていて、魅力的だったから、という他ありません。その証拠に同じメンバーのUDO(ウド鈴木)が作詞とヴォーカルを担当した『GREEN MAN』(1997)は、オリコン・チャートで1位も獲らなければ、ミリオンにも届きませんでした(良い曲なんですが・・・)。


『Kissよりおいしいお菓子を教えて』
(河出書房新社)
著:千秋
写真:蜷川実花
定価:税別1280円
彼らのオリジナル・アルバム『カラフル』の1曲目はこんな歌詞から始まります。「♪ピンクのSpeedでさらっていってよ」。また、『Red Angel』のサビでは「♪赤い風が吹く街 どこまでも駆けてゆけ」と歌われます。

仮に私がポップスの作詞などをするとしても、「ピンク」と「スピード」という単語を結びつけないし、そんな発想すら出て来ないでしょう。「赤い」と「風」もそうです。そんなブッとんだ感性は私にはありません。このブッとんだ非凡な感性こそがいわゆる「詩情」というものだ、と思われるワケです。

女性というのは、年齢を問わず、ある種の魔性を心に秘めています。どこか淫靡で、どこか自己中心的で、どこか夢想的な。その女性ならではの哲学と詩情を、蜷川実花のケバケバしい程にグラマラスな写真を交えて、より鮮明な形で堪能できるのがこの『Kissよりおいしいお菓子を教えて』なのです。

バラエティ番組ではない、詩集ならではのキワどい表現もあったりしますので、千秋の詩世界をポケット・ビスケッツの楽曲よりも幅広く楽しめます。すべての女性はいくつになっても「女の子」であると言いますから、その永遠性ここにこそあり、です。


作品情報

・著者:千秋
・写真:蜷川実花
・発行:株式会社 河出書房新社(2001)
・著者公式ブログ:苺同盟
・公式サイト:河出書房新社







 

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