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『坊主DAYS』
エッセイ、そして「漫画」としての秀作

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女性漫画家、杜康潤が、自身の出身であるお寺(臨済宗)について描いたエッセイ漫画、『坊主DAYS』。もっとも作者はお坊さんではなく漫画家。作者の実兄がお坊さんであり、彼を通じて、お坊さんやお寺の実情が、面白おかしく語られます。


このエッセイ漫画の秀逸なポイントは、ある程度の客観性を保ちつつ、それでいて、取材したことを漫画でレポートするだけには留まっていないところです。つまり、作者はお坊さんの身内でこそありますが、お寺びいきでもなければ、臨済宗至上主義でもない。淡々と、自分や家族の出来事を、漫画で展開します。その距離感が、恐らく大半は宗教に無関心であろう読者にとって、スムーズに読める要因になっています。お葬式に関するマナー講座などもあるので、実用にも適していそうです。

しかし、どれだけ取材を重ねても、どれだけ客観的であろうとしても、漫画は漫画。報告書ではないのですから、読者をトリコに(少なくとも読まれている間は)する要素が含まれていなければなりませんし、まず読みやすくなければいけません。言い換えれば、漫画はどこか蠱惑的であるものなのです。『坊主DAYS』は、それを踏まえて、秀作と言えるでしょう。

具体例を揚げましょう。第1巻で、日本の歴史とお寺についてまとめたくだりがありますが、明治政府になった途端、「日本の国教は神道です」と政府が発表したことになっています。しかし、日本の歴史上、日本の国教が神道であると正式に制定されたことはありません。当時の宗教界(というか、日本国全体)は混乱に混乱を重ねていたため、分かりやすさを最優先した結果でしょうか。

この、全くのウソっぱちでもないが、かと言って全部が本当でもないバランス加減で構成されているからこそ、『坊主DAYS』は、「エッセイ漫画」として秀作であると言えるのです。もちろん、日本人の「宗教や歴史への無関心」という問題があってこその秀作なのですが。


作品情報

・作者: 杜康潤
・出版: 新書館
・連載期間: 2007年~2011年






 

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