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『R's Bar ~漫画家の集まる店~』
対談をマンガにしてみた、という印象しかない

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漫画家・黒澤Rによる、対談式エッセイ漫画『R's Bar ~漫画家の集まる店~』(コミックスでは『漫画家さん いらっしゃい! R's Bar ~漫画家の集まる店~』というタイトルになっている)を読んで思うのは、漫画家同士の対談をマンガにしただけじゃねえか、というもの。そこが新しいと言えば新しいが、起伏に乏しくて、少なくとも男性の多くには読めたもんではない、と思う。

舞台は黒澤Rがママを務める架空のバー。羽海野チカ、押見修造など実在する数々の漫画家が集まるという、そのバーの様子が、フィクションとノンフィクションを交え、ユーモラスにマンガとして描かれる。ちなみに第1話のゲストである羽海野チカは、黒澤Rの師匠にあたる。

黒澤Rとゲスト漫画家の対談がマンガになっているわけだから、もしどれかの漫画家のファンなら、一読してみたいと思うだろう。貴重な話なども目にすることができると思う。しかしいずれの作家も別に好きではない筆者にとっては、同業者同士の内輪話を延々と少女漫画で語られるばかりで、読み進めるのが少々つらい。

何より、ターゲットが分からない。業界内でウケればいいのか、ゲスト作家のファンに向けているのか。少なくとも、いずれのファンでもない筆者には魅力が伝わらないから、老若男女を問わず、まんべんなくウケる類の路線ではないように思う。いったい、これを誰に届けたいのかが見えてこないのだ。

あえて注文を付ければ、せっかく舞台をバーに設定したのだから、ゲスト漫画家同士が車座になっての対談も、マンガとして2、3話収録しても良かったのでは、と思う。資料としては確かに価値があるわけだから、その方向で深化しても良かったはずだ。評価としては、全体的に詰めが甘い、と言わざるを得ない。


作品情報

・作者: 黒澤R
・出版: 白泉社
・連載期間: 2013年3月~2015年9月







 

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