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『パタリロ西遊記!』
鳥か? 飛行機か? いや、パタリロ孫悟空だ!

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よく知らないのに知っているつもりになっていることがある。例えば、孫悟空などが出て来る「西遊記」だ。中国の小説で、孫悟空やその仲間たちが三蔵法師と共に天竺へ旅をして、火炎山に住む牛魔王をやっつける・・・くらいは、大体が知っているだろう。だが、なぜ孫悟空は雲に乗って何処へでも行けるのに三蔵法師とテクテク旅をしているのか、なぜ孫悟空は猿なのに不思議な術を使えるのか、などを訪ねられると、答えに詰まる者がこれまた多いのではないか。


知識は決して万能でもなければ絶対でもない。だが知らないよりは知っている方が良いこともあるというのも事実。さりとて、現実に「西遊記」を読もうとしたら、結構な長編小説になる(岩波文庫から10巻セットで出ている)。「西遊記」は読んでみたい、でも長編小説を読むのはしんどい、と言う御仁には、魔夜峰央の『パタリロ西遊記!』をおススメしたい。

『パタリロ!』といえば、ご存じ、日本の少女漫画界の長寿作品のひとつ。『パタリロ西遊記!』はいわば『パタリロ!』のスピンオフとでも形容し得る世界。『パタリロ!』のキャラクターたちの一部が「西遊記」のキャラクターとして描かれ、多少原作小説とはズレた味を出しながらも、いや、かなり脱線して、「西遊記」を展開してゆく。

物語は石猿(のちの孫悟空)が生まれるところから始まる。何やら幻想的かつ厳かな雰囲気なのだが、生まれたのは、雨の日に公衆便所に落とした三日前のブタまんみたいな赤ん坊。つまり、パタリロである。ひと目見ただけで思わず笑ってしまうキャラクターの造形に、感服。


しばらくして、孫悟空は三蔵法師に出会うわけだが、ここまでの物語がまた忠実かつ詳密に描かれているのだ。魔夜峰央お得意のジョークや悪ふざけはあるものの、決して物語をブチ壊しにしていない。むしろ、古典的名作を現代に伝えるに十分なテイストとして機能しているのだから、読みやすいこと、読んで楽しいことこの上ない。

何より、「西遊記」がこれほど長く名作として伝えられるのは、ひとえに面白いからに他ならない。そしてその「西遊記」と、『パタリロ!』の相乗効果は、ページをめくるごとに、物語を追うごとに素晴らしいものになってゆく。そして物語は次第に独自色を強めていくわけだが(笑)。

本家『パタリロ!』は基本的には男色の世界(そうでない話も多数あるのだが)だが、『パタリロ西遊記!』ではそういった色はナリをひそめ、代わりに猪八戒が女性に対して欲望全開でアタックしたりする。そういう意味でも、多くの人に親しみやすいマンガだと思う。


作品情報

・作者:魔夜峰央
・出版:白泉社
・連載期間:2000年3月~2004年3月







 

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