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『チーム・バチスタの栄光』
医療界の謎を解く名探偵・白鳥圭輔の誕生

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探偵ものといえば、主人公は私立探偵か法曹界・警察組織の人間・・・と相場は決まっていますが、ミステリーというのは何もそんな限られた世界でばかり起こるわけではありません。『チーム・バチスタの栄光』で初登場を果たした、医療の世界で起こる難事件に立ち向かう男、白鳥圭輔がそれを証明しています。

というのも、白鳥は私立探偵でもなければ警察官でもありません。彼が在籍するのは厚生労働省。肩書を正確に言うと、厚生労働省大臣官房秘書課付技官・医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長です。いったい何人の人が目を閉じて暗誦できるでしょうか。

・・・なのですが、彼がエリートかというと必ずしもそうとは言い切れません。窓際族というか、いわゆるひとつの問題児です。とにかく口がうるさく、場の空気などお構いなし。彼と相対し、思わず彼を殴ってしまう人もいるほどの、暴走特急KY号なのです。彼の相棒である神経内科医・田口公平をして「ゴキブリ」と言わしめる一方、純粋な論理的思考を重んじ、一点の矛盾やナゾも見逃さない名探偵でもあり、「ロジカル・モンスター」とも呼ばれています。


何も白鳥はヒステリーや鈍感というのではありません。彼の言動は常々心理学に基づいており、相手の虚をつくこともあるから、油断なりません。腐っても官僚なのです。また、彼を窓際にとどまらせる原因である社会性に欠ける言動も、組織のルールや都合などに揺るがされない強い信念があればこそ。それもあって、田口も彼を無下には出来ないのです。

『チーム・バチスタの栄光』はそんな白鳥の最初の足跡です。術中死が相次ぐ「チーム・バチスタ」の調査をするために、田口の勤務する病院に白鳥が乗り込んできます。実際の医師でもある海堂尊の筆によるこの第一作は、第4回『このミステリーがすごい!』大賞を、選考開始後1分も経たずに満場一致で受賞しました。

ちなみに映画化された際、白鳥を演じたのは、今年御年50歳という阿部寛さん。『結婚できない男』といい、『トリック』といい、どうしてあの人は「人をイラッとさせる男」がこうもハマり役なのでしょうか。


作品情報

・作者: 海堂尊
・発行: 宝島社(2006年)







 

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