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■ 3月31日~4月29日にかけて、「日本の寺」をフィーチャーします







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高円寺
徳川家光と縁がある、東京古刹

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お寺、と言ってもそこまで珍しいものではあるまい。大方の人はそう思わないだろうか。文化庁の宗教統計調査(2016年)によると、日本にある寺院は総数77206とのことである。調査は自己申告制だったと聞くから、実際はもっとあるのかもしれない。

この数はどれくらいのものなのか。参考までに挙げると、日本の郵便局の総数は約24000(2018年)。つまり日本には郵便局の3倍以上の数、寺院があるわけだ。さすれば確かにお寺が珍しいとは言いにくい気がする。言い換えれば、お寺の独自性のアピールは差別化が難しいということでもあろう(お寺がアピールをする必要があるのかという問題は、この際措くとして)。聖徳太子が建てたお寺とアピールする所もあるが、あの人、あちこちにお寺を建てまくったわけだし。

そんな中で、主題である東京の高円寺は、独自性をアピールしやすいのではないかなと思う。



東京に住まう人には、高円寺をただの駅名、町名と思われている方が多いかもしれない。実際に高円寺という、曹洞宗のお寺があるのだ。だから「高円寺」という駅名は、たとえて言えば地方のバス停の「吉村さんち前」と似たようなものかもしれない。いや、ちょっと違うかもしれないけど。

なかなか話が前進しないので、強引に進める。

東京の前身は江戸である。江戸と言えば徳川幕府。高円寺は江戸幕府の第3代将軍、徳川家光と縁があるお寺なのである。と言っても、創建は西暦1555年であるからして、家光が建立したとか、家光を祀って建てられたとかではない。(家光は1604年生まれ)

家光にはお祖父さんである家康との共通点がいくつかある。たとえば、幼名が同じ「竹千代」であったり、鷹狩りをたしなんでいたり。

鷹狩りというのは、ホーキングとも呼ばれるが、決められたフィールドで自前の鷹を放ち、獲物であるところの野鳥を仕留めさせる、貴族のたしなみとされた野外ゲームの一つである。対戦式で、決められた時間内に何羽仕留められたかが競われる。仕留めた獲物は家来の皆さんで美味しく頂くとか、近郷の民家に分け与えるとか、人それぞれ。



で、家光が鷹狩りの際、高円寺に立ち寄ったのだが、当時の住職は家光の顔を知らなかったという。週刊誌もテレビもネットもない時代なので無理もない。住職は家光と知らずにもてなしたのだが、家光はそのもてなしを気に入り、以降懇意にしていたのだとか。そのうち家光は、世話になったお礼にと宇治から茶の木を取り寄せ、高円寺の敷地内に自ら植樹したとまで伝えられている。

その「家光の茶の木」は現在でも境内にあるのだとか。

先の大戦で、東京はいわゆる「東京大空襲」に遭い、当然というかなんというか、高円寺も被災した。現在の本堂は、1953年に再建されたものらしい。それでも件の茶の木が無事だったのは、不幸中の幸いと言うべきか。







 

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