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四天王寺
大阪に建つ日本最古の仏教寺院、だけど…

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ここまで「日本の寺」を取り上げてきて、ふと、あることに気付く。大阪の寺がない。別になくても誰も困りゃしない。それはそうであるが、一応、地元であるからして何か一つくらいは揚げてみたい。

パッと思いつくのは「天王寺」という地名。動物園やホームレスで有名な地域である。あのへんと言えば四天王寺か。日本各地に、聖徳太子が建てたという触れ込みの寺院があるものの、実際には彼の名前を借りただけのものも多い。仏教史学者の境野黄洋いわく「法隆寺と四天王寺は確実」(『聖徳太子伝』丙午出版社、128頁)に聖徳太子が開基したのだとか。



四天王寺とはどういう寺か。『日本書紀』によると、蘇我氏は当時、物部氏と対立しており、聖徳太子は蘇我氏サイドについていた。そこで聖徳太子は蘇我氏に、「物部氏に勝ったあかつきには四天王を安置する寺院を建てたるで」と約束したらしい。結果、蘇我氏が勝ったので四天王寺が建立されるはこびとなったのだとか。西暦で言えば593年のこととされている。

なんでも、四天王寺とは日本の本格的な仏教寺院としては最古のものらしい。そんな歴史的に貴重なものが大阪にあったのか。正直、驚いた。

ちなみにお寺と言えば、臨済宗だとか天台宗だとか、いわゆる宗派が何かしらあるものだが、四天王寺にはない。正確に言えば、すべての仏教諸宗派を司る和宗の総本山というポジションにあるらしい。日本の仏教のラスボス、という感じがしなくもないが、そういうものでもないのだろうか。

もっとも、歴史が古い分、戦災などにも数多く遭っている。たとえば1614年の大坂冬の陣で焼失したり、先の大戦での「大阪大空襲」で焼失したりと。そのあたりが法隆寺とは異なる所か。



593年に四天王寺を建立したのは世界最古の企業とされる金剛組であった。金剛組は、もともと当寺を建立するために集められた宮大工の一人が組織したといわれており、現在は高松建設の傘下にある。そのためかどうかは知らないが、現在、当寺関連の改修工事を担っているのは大林組であったりする。

現在、四天王寺や天王寺動物園などのあたりは「浄化」が進み、露店やホームレスはご法度となっている。しかし、仏教はもともと「清濁あわせのむ」のが本道のはずで、つまり「キレイなもの」しかない状態というのは仏道に反するわけだ。付近住民には「浄化」を歓迎する向きもあるが、長期的に見た場合、大阪にとってマイナスなんじゃないかな、と思わなくもない。

ホームレスや露店業者は、ともすれば大多数からは歓迎されないマイノリティであろう。彼らが「排除」されたということは、大阪は「少数派が生きにくい場所」であることを意味している。生物学者の池田清彦やマツコ・デラックスが言うように、人はいつでも多数派につけるわけではない。人は誰でもどこか変態なのだ。さらば、大阪は今後、ますます「生きにくい」場所になるはずである。

大阪には歴史的に貴重な四天王寺がある。上述のように、それは事実である。しかし建物があるだけで実際、大阪に果たして仏心があるのかとなると、甚だ懐疑的にならざるを得ないのである。







 

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