A:まぁ、ウチみたいな、小さいトコでも自分でビールを作ってお客さんに提供するブリュー・パブ・・・マイクロ・ブリュワリ(※)を通り越してナノ・ブリュワリっていうくらいの、気軽に作って楽しめるようなのが、いっぱい出来るといいんですけどね。(※ブリュワリ=醸造所)
■ 多様化の極みと言うか、文化としてブリューイングが根付く形と言うか、っていうところですよね、それは。
A:日本だと、ビールの管轄は国税局なんですよ。厚労省とか保健所とかじゃない。ビールを食品のひとつとして扱ってないんですね。だから飲食店とかと結びつかないで、安全性とか衛生管理とかが放ったらかしになってるんです。で、技術的に勉強もしてない、変なビールを出す店が増えて困る(笑)。
■ それは「日本のビール」のアヴェレージを下げてる、ってコトですよね。
A:そう。だからビールが食品として本当の意味で発展するには、そういう所からちゃんとして行かないとダメですよね。あとは業界での指導者の不在ですね。もうこの業界もそれなりの経験者がいるんだから、彼らが指導者としての勉強を積んで、次の世代を育ててゆく。そうなるといいですよね(笑)。
■ 産業としての日本の地ビール、個性をそれぞれに追求した、青木さんが思う本当の意味での地ビールっていうのは、まだこれから、ってトコですか?
A:そうですね。(建築でいうと)基礎がやっと出来たくらいじゃないですか。これから、ちゃんとしたシステムが構築されていかないと。あと、逆説的ですけど、今はお客さんも増えてきていますので、そういう所から作り手や流通の品質向上もあるかなぁ、と思っていますけどね。
■ なるほど。本日はありがとうございました。
A:ありがとうございました。
インタビューと文:三坂陽平
「麦酒倶楽部ポパイ」オーナー/株式会社シンポ企画代表取締役:青木辰男さん
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