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日本のポップス
マスタリング・エンジニア

小泉由香

< 2014年12月12日 >


平素、我々がポップスを享受する際、ほとんどの場合、録音された音を聴くことになる。録音された音楽とリスナーの間には、橋渡しとしてマスタリングという工程が存在する。その録音された音楽の曲間や音質を適宜整理し、聴く者に最適の形で届ける大切な過程だ。

今回伺ったのは、マスタリング・エンシニアの小泉由香さんを擁する有限会社オレンジ。EXILE、ZARD、坂本龍一、葉加瀬太郎、B’z、矢沢永吉、渡辺貞夫など、ポップスのみならずジャズやクラシックのマスタリングも数多く手掛けてきた彼女に、同社専務の小谷さん立ちあいのもと、「小泉由香の部屋」であるマスタリング・スタジオ「オレンジ」で、インタビューを試みた。



■ あれはFF(ファイナル・ファンタジー)ですよね?



小泉由香(以下、K): チョコボ君(笑)。FF(のサントラのマスタリング)もやってるんですよ。あそこに置いてあるのは、低音が激しいとあのコが揺れたりするので、結構役に立っています。



■ なるほど、では宜しくお願いします。まず小泉さんがマスタリング・エンジニアになろうと思われたきっかけから、お願いします。

K: 高校の頃からバンドをやっていまして、そこからレコーディングの方に興味を持って、一年制の専門学校に通いました。だから最初はレコーディング・エンジニアになりたかったんです。というのも、当時(昭和60年前後)って媒体がLPもあった、CDも出て来た、カセットもあったという時代で、マスタリングというのが無かったので。LP盤を切るという所で、カッティングとは云っていましたけど。マスタリング・エンジニアになったのは、当時は女性がエンジニアになるというのはなかなか無くて、マスタリングの方が就職口はあったから、です。


■ マスタリングの黎明期だったわけですね。ちなみに高校の頃のバンドでは、パートは何を?

K: ドラムです。ギターやヴォーカルみたいに前に出るのではなくて、裏でリズムを作る、裏方の方が好きだったんですよね。それは男女混合のロック・バンドで、多少自分たちのオリジナルも演っていたりしましたけど。


■ 当時から裏方志向だった感じなんですね(笑)。その後、音響ハウスさん等でマスタリング・エンジニアとして活躍されてきた小泉さんですが、この「オレンジ」を1997年に設立された理由は・・・?

K: 説明が難しいですね(笑)。きっかけは色々あります。レコーディングだと1人のエンジニアさんがそのスタジオだけ使うとかはないですけど、マスタリング・エンジニアというのは基本1人一部屋なんです。AさんはAの部屋を管理して使う、みたいな。その方がクオリティを管理しやすいので。キャリアをある程度積むと1人一部屋もらえるんですけど・・・どう説明したら良いんでしょうね?

小谷専務(以下、K2): (笑)やはり自分のスタジオを持つ方が、その特性を理解できているわけですから、レコーディングされたリファレンス(標準)たる音源を、より客観的に捉えられるという利点はあると思います。宮仕えというか会社勤めだと、小泉以外のエンジニアが使って、スピーカーの向きを変えられちゃったり、ケーブルのセッティングが変わったりというのがあるわけです。だからここは、小泉がマスタリングをするための、小泉の部屋なんですね。



■ お邪魔しています。マスタリングの際、ご自身にとってベストな環境をキープ出来る、ということですね。この「オレンジ」の名前は・・・?

K: いくつか候補があった中で調べてもらったんですけど、オレンジだけは世界中のどの国でも悪い意味がない色だというので、じゃあそれにしよう、と。


■ マスタリング・エンジニアになられて、来る日も来る日も、仕事で音楽を聴き続けるわけじゃないですか。プライベートで音楽って聴かれます?

K: もちろん、疲れた時は耳を休めないといけなくて、そういう時は音楽を聴かないですけど、普段は好きな洋楽を聴いていますし・・・キライにはならないですよ(笑)。耳も消耗品ですので、スピーカーでは聴くけど大音量は控えますし、iPodのような、CDより音質が落ちたもの、ローレゾ(ローレゾリューション)って言うんですけど、は大音量でイヤホンでは絶対に聴かないです。


■ 年に何枚くらいのCDのマスタリングを手掛けてこられた感じですか?



K: 年間・・・200・・・?

K2: 一番忙しかった時で、年間400枚です。1日に2作品以上ですね。今は年間で200枚。シングルもアルバムも含めて、CDだとそれくらいです。



『Black Shoes』
Char
1989年発売
■ うわ、そりゃ耳も休めないといけないですよね。小泉さんがマスタリングを手掛けた最初の作品は、何だったんですか?

K: Charさんの『ブラック・シューズ』(1989年発売のミニ・アルバム)ですね。Charさんは、先日もいらっしゃいました(笑)。エンジニアとして駆け出しの頃から色々お世話になっています(笑)。




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