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日本のクツ
「そのみつ」社長

園田元

< 2014年10月01日 >


東京・谷中。恐らく地方の人達が想像する「東京」のイメージとはかなり違う、いわゆる下町だ。JR「日暮里」駅を降り、谷中霊園を抜けて谷中小学校の方へ向かう。しばらくすると、ビスポーク(完全なオーダーメイド)で靴を作り続ける「そのみつ」がある。

靴を作り続けること。好きで作り続けるのは出来るかも知れない。しかしそれで食べていくとなると、別の話になる。もう20年弱、「そのみつ」を展開し、靴を作り続ける、「そのみつ」のオーナーの園田元さんにインタビューを行なった。テーマは「ビジネスとしての靴作り」で・・・



■ 本日はよろしくお願いいたします。まずは1996年に「そのみつ」を立ち上げる前の園田さんのキャリアについて、つまりなぜ靴業界に入ろうと思われたのか、というところからお聞かせ下さい。

園田元(以下、S): きっかけは・・・就活でしたね。当時は、靴に関係ない人が靴の業界に入るっていうのが少なかったかな。靴を作る所に靴にたずさわったことのない人が入るっていうのがね。メーカーさんも募集が少なかったし、選択肢がそんなになかった。当時は靴屋のせがれさんとかしか、靴を作る業界に入るっていうのがなかったから・・・(自分みたいなケースは)珍しかったんだと思います。


■ その後、園田さんは靴作りにたずさわり、「そのみつ」を埼玉で立ち上げるわけですが、立ち上げた時のこだわられたポイントなどをお願いします。

S: 当時は靴って手で作るっていうのがほとんどなくなってきていて、大量生産の、機械で作るだけの業界でしたから。でも、自分が好きで履いていた靴とかは手で作ったイギリスの靴とかだったんで、グッドイヤー(製法)であるとか、そういうのにこだわりはありましたね。後はまぁ、機械を買うとか、お金もないし(笑)。ある物でどうするの?っていう所からのスタートですよね。手を動かすことはできるから。


■ そこからやっていこう、と。下世話な話ですけど、当時の収支とかってどうでしたか?

S: う~ん、もちろん、やり出したら食えるようになるかっていうと、それは別問題だし。そもそも道具屋さんに(靴を作る)道具とか売ってない時代でしたから、仲良かった職人にもらったり。材料だって、今みたいにお金持ってったら買えるかっていうと、買えなかった。革問屋さんにも、革を1枚2枚で売るっていう発想がなかったですし。だから道具は揃わない、材料も揃わないっていう環境でしたね、当初は。


■ 四面楚歌からのスタートですか。それがある程度、軌道に乗りはじめたな、と感じたのは、いつごろですか?

S: 軌道に? ・・・まぁ、言うなれば、まだ軌道に乗ってない(笑)。そう簡単に軌道に乗らないですね(笑)。ただ材料屋さんが、最初相手にしてくれなかったのが相手にしてくれるようになったりだとか、材料も当初は現金で買っていたのが、伝票切って一か月後の支払いで良いよってなってきたりだとか、そうなってからはある意味軌道に乗ったって言えるかも知れない。やっぱり、材料屋さんにシメシメにしてもらうっていうのは、信用してもらえたっていうことだから。それは埼玉(でやっていた)時代ですね。


■ その後、「そのみつ」は埼玉から浅草へ移転し、2003年には谷中へ移転したわけですが、移転の理由などは?

S: 結局埼玉でやっていても浅草(関東の靴の本場)で取引する訳だから、それは近い方が良いじゃないですか。で、浅草からこっち来たのは・・・一番は、谷中に美味しいソバ屋があるからですけど、作るだけじゃなくお店も出来るっていう所ですかね。


■ 靴を作るだけではなく、お客さんにディスプレイ出来る場ということで・・・

S: 手で作っていく意味合いとしては、作ってお客さんに手渡すっていうのが出来ないと意味がないですからね。もともとやり始めた時も、工房とお店を一緒にした場所を作りたいと思っていたので。浅草でも一応そういうふうにはしていたんですけど、なかなか浅草に人は来ないです(笑)。浅草では吉原っていう所でやっていたんですけど・・・


■ 大炎上で有名な・・・

S: そうそう。そうすると周りはソープランドのおねえさんとかオーナーとかですから、なかなかそういう所へお客さんは来ないですからね。交通の便とかもあるし。それでこっち(谷中)へ。以前は福岡でもお店をやっていたんですけど、福岡は遠くて一年に4回くらいしか行けないし、ある意味卸しの感覚になっちゃう所があったんで・・・(今はやっていない)


■ 一般的な感覚だと、お店を構えるっていうのにもお金は掛かるはずですよね。つまり、浅草時代にはそれくらいの収支のバランスっていうのは取れていた、と?

S: いや、基本的にはね、取れてない。そこからの発想ではないので・・・先ず何をどうしたいか、なので。最初に「こうしたら儲けれるなぁ」っていう発想でやっていたら、多分これだけのスピードではやれてない。