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■ 3月31日から4月29日にかけて、時計をフィーチャーいたします。







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日本の自転車
アトリエ「キノピオ」代表

安田マサテル

< 2014年04月13日 >


大阪に生まれ、大阪芸術大学を卒業し、木製自転車「木龍(モックル)」などのプロデューサーとして、国境を越えて活躍する安田マサテル。自転車の本場、イタリアで10年修業を積んだ彼は、イタリアとは異なる日本の文化的志向にいかなる思いをいだき、「木龍」を手掛けるのか。インタビューをこころみた。





■ 本日はよろしくお願いいたします。まず、木製フレームの自転車「木龍(モックル)」なんですけど、これは大阪芸大に在籍中に作られた、とか。

安田マサテル(以下、Y): そうです。当時、大阪芸大には大学院がなくて、専攻科っていうのがあったんですけど、そこに在籍中に。90年代後半ですね。


■ まず、愚問とは思うんですけど、その時、なんで木の自転車を作ろうと思われたんですか?

Y: まず自転車が好きやったのと、フツーの自転車を作りたくなかった、っていうのですね。自転車の歴史をさかのぼると、例えば150年前とかって、(その時の自転車は)木で出来ていたわけで、「じゃあ木でええやん」と。


■ で、そこで朝日現代クラフト展に入選されたりしながらも、そのあと、「木龍」を一度置いて、イタリアに渡られたわけですが、これはまたなぜに?

Y: 学生の弱みですけど、良い自転車を作れても、「それを商品にする」っていうのが、わからなかった。どういうふうに商品として展開すればいいのか、と。それで、イタリアへ。自転車の製造技術だけでいえば、台湾とかの方が上ですけど、競技用自転車の本場はイタリアなんです。その歴史がある。だからもう、飛び込みで行きました。


■ なるほど。イタリアで経験を積まれて、それまでの自分のやり方や価値観の変化など、どういうものがありました?

Y: やっぱりね、あっちの人って、いい加減なんです。悪い意味じゃなくて、良い意味で。アバウトというか、許容範囲が大きい。日本って完ペキ主義というか、何でも規格にハマってないとダメなとこ、あるじゃないですか。ハミ出たらダメ、みたいな。でも、そこから面白いモノ、美しいモノなんて、生まれようがないんですよ。その、いい加減であることの大切さを学べたのは、大きかった。もちろん、シメるところはシメるんですよ。でも、作るモノに余白を残しているからこそ、色んな人が、それぞれのやり方で使えるわけで。


■ いい加減は、「好」ましい「加減」と書きますからね。確かに、日本って画一的であろうとしますよね、商品も人生設計も。それだとつまらないものしか出来ない、と。

Y: つまらないし、危険でもありますよね。多様性を受け入れられないっていうのは。使う人は、別に一定じゃないでしょ? 幅広い層が使うわけだから、ある程度は余白というか、ゆとりというかを、やっぱり作る側も持たないと。