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■ 6月30日から7月30日にかけて、1984年のポップスをフィーチャーします







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編集余談

働き方改革。なんじゃそりゃ。なんでもかんでも改革すりゃいいってもんでもなかろう、少なくとも改悪の恐れがあるうちは。私個人としてはそう思うのだけど、まぁでもなんやかや「改革」と銘打って「仕事してまっせ」とアピールしておかないと、政治屋の皆さんも地元の有権者たちに「税金もろとんねから仕事せんかいボケ」と叩かれちゃうんだろう、たぶん。しんどそうだ。いっそまずは政治屋の仕事からAI(人工知能)に置換してはいかがか。どこの誰がそのシステムを管理するかでモメるだけか。

今回の働き方改革は、成長戦略(まだそんな寝言を言ってるんだね)のため、人手不足解消のため、とのこと。テレビにて、あるコメンテーターは「安倍内閣による『働き方改革』で今後10年の労働人口は増えていきます」と言っていたらしい。具体的に誰だかは知らないけど、まぁメディア御用達の御用学者だろう。しかしなるほど。そういう見込みで出来た法案なら、平たく言えば、企業がマンパワー(労働者)を格安でこき使い続けるための制度なんだろうな。

なぜ安倍内閣がそんなことをするのか。理由の詮索に天才的な推理力は必要としない。彼らがアメリカのイヌであることは日本国民の皆さんには先刻ご承知のことであるが、同時に、彼らは経団連のイヌでもある。今回の政治は経団連にシッポを振った体裁であろう。Bow wow wow.

経団連にとって人手不足は困る。いわゆる「売り手市場」では、労働者に希少価値が出てしまうからだ。そうなれば当然、労働者全体の給料を上げなきゃいけなくなるし、労使交渉だって企業側の思うようにいかなくなる可能性が出てくる。企業としての経済効率は(少なくとも短期的には)悪くなっちゃって、経営陣は総会で株主に叩かれてしまう。

それは嫌だ。役員報酬でがっぽり儲けたいけど責任逃れもしたい。経営陣たちの本音はそんなところである。じゃあ労働者たちを安価でこき使い続けられる制度を安倍内閣に作らせりゃいい。労働者が困る? 知ったことか。俺たち経団連の理事はみんなくたばり損ないのジジイなんだ。先のことだとか若いヤツのことなんか知ったこっちゃないよ。とりあえず目先の総会だけ無難に切り抜けられりゃ、日立や三井物産など、自分たち(経団連の理事たち)の会社だってどうなったっていい。その頃まで生きてやしねぇんだからよ。

と、まぁこんな経緯だろう。ひどい話だね。

経団連(無国籍企業)にとって労働人口というのは増え続けてもらわなくてはならない。労働人口が増えないと、先述のように、労働者の給料を上げなきゃいけなくなるし、第一、自分たち(経団連理事)だって肩身が狭い。周りの同期はみんな離職したか定年退職したっていうのに、自分はまだきゅうきゅうと会社にしがみついて一千万単位の年収を手にしている。それを正当化したいという気持ちだって高齢の役員連中にはあるのだろう。迷惑な話だけど。

働き方改革の要綱には、非正規社員と正社員間の待遇の格差をなくす、というものもある。格差是正と言えば、まぁ聞こえはいいかもしれない。しかしそれを実現しようとすれば、正社員をバイトやパート並みの待遇に落とし込むか、バイトやパートの人の実入りが(正社員同様の、各種保険や組合などへの強制加入措置によって)減ることになるかだろう。

どちらがいいか? どちらにしても企業というものへの求心力を総体的に低下させるだけだから、長い目で見て、いいなとは思えない。でもそんなマクロな視点は、安倍内閣も経団連理事たちも、求めていないんだろうね。

私見でまとめさせて頂こう。世の中には「扶養家族に入っているから、年金が入るから、そんなに稼ぎたくない」「別に暮らし向きが困っているわけじゃないんだから、働く時間を減らして自分の好きなことをしたい」という人がたくさんいる。本当にたくさんいる。働き方改革というのは、そういう人たちを強制的に労働へと追い込まんとする(そうすれば雇用する側が優位に立ち得る)装置なのだろう。幸か不幸か、日本人には「働くことは美徳」とする価値観を持つ人も多い。別に人の思想や価値観にまでどうこう言うつもりはないけど、結局それで得をするのって「人をこき使う側」なんだよね。


(三坂陽平)