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『それでもボクはやってない』
日本の司法・警察活動に投げかける疑問符映画

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邦画史上、社会派映画は数多くあれども、この作品をおいて21世紀の日本の社会風刺は語れまい。2007年公開の、周防正行監督が『Shall we ダンス?』以来およそ10年ぶりにメガホンをとった、『それでもボクはやってない』だ。

それでもボクはやってない
監督・脚本 周防正行
配給:東宝
20世紀末の師走に現実におこった「西武新宿線痴漢冤罪事件」から想起されたストーリーは、綿密に調査・取材された情報から成るリアリティをもって、圧倒的な理不尽さと虚無感を観る者に与える。

あるフリーターの青年が就職面接に向かう電車の中で、突然女子中学生から痴漢の濡れ衣を着せられる。青年は無実を叫ぶもあれよあれよと言う間に状況は不利になるばかりで遂には起訴されてしまう。その汚名返上の七転八倒劇…と口に言うは容易いが、内容は濃密で、日本の司法のご都合主義や警察の被疑者取調べの問題点を、ひいては日本という国家のシステムの抱え続ける問題を浮き彫りにしている。

男性ならどうだろうか? もし自分が明日、痴漢の濡れ衣を着せられたら? 女性ならどうだろう? もし自分の恋人が痴漢冤罪の憂き目にあったら? 子を持つ親ならば子供に、親を持つ子ならば親に、そういった状況をシミュレートして、鑑賞してみるのもいい。今まで日常のすぐ隣に潜みながら、見えていなかった恐怖が見えてくるはずだ。

果たして「それでもボクはやってない」(あるいは「それでも彼はやってない」か)と、この国の司法制度の中であなたは言い続けられるだろうか?





 

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