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『ゴジラ』
日本映画史に燦然と輝く特撮映画の金字塔

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戦後、日本の映画に「特撮モノ」というジャンルを確立した、日本が誇る特撮監督・円谷英二。彼が本多猪四郎と共同で監督を務め、「特撮怪獣映画」の第一号作品として世に放ったのが『ゴジラ』(一九五四)だ。もっとも、誤解の無い様にいうと円谷は原作者でもプロデューサーでもなく、あくまで特撮技術面での監督に相当する(当時のクレジットより)。

『ゴジラ』
監督: 本多猪四郎
特技監督:円谷英二
製作:田中友幸
配給:東宝
水爆実験により覚醒した巨大な太古の怪獣・ゴジラが日本に上陸し、文明社会を蹂躙してゆく。政府与党は、事の発端が水爆実験のため、国際的批判を浴びるのを危惧し事実公表を控えようとするも、事実公表を主張する野党と対立。国会は紛糾状態となる。設置された特殊災害対策本部においても「水爆実験を経てもなお生き続けるゴジラの生命力の解析が肝要」とのたまう始末。ゴジラへの対策はいかにしてなされるのだろうか、というのが大まかな粗筋だ。

本作における音楽を担当した伊福部昭の劇中音楽は、特にメイン・テーマは、その後のゴジラ・シリーズでも流れるほどの秀作であるが、何でも、「子供も観るような映画だからこそ、正しい音楽を、嘘のない音楽を提供せねばならない」という信念のもとに作られたのだとか。

モロクロであるがゆえのリアリティ。人間ドラマを演じ切る演技力と構成力。テーマの根幹にある人間社会への訴求。そして円谷の巧みな特殊技術の演出。現代にも通ずるものを含んだ、邦画史上に輝く大作であることに異論を挟む者はいまい。

封切り初日は東京都内だけでも約十五万人の動員数をほこり、当時の東宝の初日観客動員記録を塗り替えたほどであった。とはいうものの、当時のジャーナリスト受けは悪く、「ゲテモノ映画」と称されてやまなかったものだが、そんな批評をよそに、『ゴジラ』は当時の日本人の十人に一人が観たというほどの人気を博し、ついには海外へ輸出され大成功を収める。





 

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