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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
過去を打ち破る意志に満ちた、背水の陣の名作

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1990年代半ば、超絶的人気を博し、社会現象にまで発展したアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』。その物語自体はもとより、エヴァ現象と呼ばれるような社会現象・ブームをも終わらせるために公開されたのが『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』。そう、この劇場版を以て、同アニメは終止符を打たれたはずであった。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
EVANGELION: 2.22
YOU CAN (NOT) ADVANCE.
それから、日本では掃いて捨てるほどのアニメが作られ、消費されていくこと10年。『新世紀エヴァンゲリオン』の生みの親・庵野秀明は「我々は再び、何を作ろうとしているのか?」というタイトルの所信表明を発表し、過去の『新世紀エヴァンゲリオン』をベースにしつつも異なる作品という位置づけの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』全4部作の発表をおこなった。

とはいうものの、第1部にあたる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、絵やデザインこそ新しくなったものの、ストーリーは前世紀のそれとほぼ同じものであった。敢えて前世紀版と同じ所からスタートした、と捉えて然るべきなのだろう。物語が後半に進むにつれ、過去の作品との差異が明らかになっていくものだったからだ。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
EVANGELION: 1.11
YOU ARE (NOT) ALONE.
そして前世紀版との決定的な違いをあらわにしたのが、第2部にあたる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』だ。2009年6月に公開されたこの作品は観客の期待を大きく裏切り、未知の物語への、誰も観たことがないステージへのステップ・アップの役割を担っていたと言えよう。公開直前まで徹底した情報管制のもと、そのベールを脱がされ得なかったのだが、それも道理。公開日当日、映画館によっては拍手喝采が起こるほど、この作品は衝撃的だったからだ。

それは過去の『新世紀エヴァンゲリオン』との決別の意志に満ち満ちていた、とも形容できる。作中にも「昔に帰る気なんてない」という台詞が登場するが、それは物語の、キャラクターの、そしてスタッフの心を代弁しているようだ。過去をトレースすることはない、という意志を以て展開される物語は、ほぼすべてが謎であり「現在進行形」感を感じてやまぬほど先が読めないものとなっている。

過去を絶つことは、未来を創造するしかないということ。もはやどうなるかわからない不安と期待は、大きく言えばそのまま人生にあてはまりもしよう。そしてそのどうしようもない溢れんばかりのライヴ感ゆえに、多くのファンの心を掴んでやまないのだろう。その繊細なるダイナミズムは、2012年秋公開予定の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』へと継承されてゆく。


基本情報

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
Evangelion: 2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.

・総監督・企画・原作・脚本:庵野秀明
・監督:摩砂雪、鶴巻和哉
・製作:株式会社カラー
・配給:クロックワークス、株式会社カラー
・上映時間:108分(劇場版)/111分49秒(DVD/BD版)






 

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