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『おおかみこどもの雨と雪』
マイノリティへの慈愛を、現代的手法で描いたアニメ映画

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オオカミ男やフランケンシュタインなど、古典怪奇の作品には「人間との共存が出来ない悲哀」をドラマティックに描いたものが多い。それは今も昔も我々の中に「異端への畏怖と差別」が根強くあることを如実に物語っている、といって良いだろう。

では我々は、その悲しみを「オカワイソウ」と言いながら眺めるしかすべはないのか? そんなことはない。アニメという、想像力を武器にした世界だからこそのアドヴァンテージを活用し、それを越えてゆく道標を示した作品がある。2012年公開された『おおかみこどもの雨と雪』だ。

東京のとある大学に通う女子大生の花は、大学の教室の一角で一人の男性「彼」(本名・出身は一切不明)と出会い、恋をする。しばらくの交際を経て、彼は自分が「おおかみおとこ」であることを花に告げるが、花はそれを受け容れ、やがて花と彼の間には二人の子供・「雪」と「雨」が出来る。しかし彼らもやはり「おおかみおとこ」の血を受け継いだ、オオカミに変身する「おおかみこども」であった。雨の出産後、「彼」は亡くなり、花は二人の子供を連れて都会を離れるが・・・

映画『サマーウォーズ』で一躍脚光を浴びた細田守監督の長編オリジナル・アニメ映画第二弾となる今作。細田氏は本作では自ら脚本も手掛け(奥寺佐渡子と共同名義)、この映画を作るためにスタジオ「地図」を設立した。その情熱と才能が正しく結実したといって過言ではあるまい。2012年の夏に公開開始、年内だけで興行収入は42億円を突破し(ちなみに『サマーウォーズ』は16.5億円)、フランスや台湾をはじめとする43の国・地域での公開に至ったのだから。

この映画の根底に流れるものは、チープな言い方になるものの、やはり「家族の強さ」というものであろう。思えば、「母親」を主体のひとつにしたアニメ映画というのは珍しくもあるが、このテーマを希求する上では必然であったのだろう。花が母親であり雪と雨はその子供であるが、作中で語られる花の生い立ちも、十分有機的なフックとして機能している。

家族をテーマにしたアニメといえば、過去にも『サザエさん』や『じゃりン子チエ』などが存在しポピュラリティを得たが、それらとは一線を画すものだ。ある種のマイノリティの存在にも言及した『おおかみこどもの雨と雪』のベースには、上述の悲哀はもちろん、そこから派生する優しさと強さといったものが存在している。そしてそれをダンディズムに頼ることなく、家族という最小の共同体を舞台に、アニメというフィールドの特性を活かして描ききっているという点で、本作は紛れもなく素晴らしいのだ。


作品情報

・監督: 細田守
・脚本: 奥寺佐渡子・細田守
・原作: 細田守
・製作総指揮: 城朋子
・配給: 東宝
・公開: 2012年7月21日
・上映時間: 118分
・ホームページ: 映画「おおかみこどもの雨と雪」







 

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