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『越冬つばめ』
つばめが飛ぶさまに女心を託した、森昌子の代表曲

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いったいどういうわけか。日本における演歌の舞台と言うのは、大概冬なのである。ポップスではサザンオールスターズ、チューブなど、逆に夏をカラー・モチーフとしたアーティストが目立つが、演歌の景色は、たいてい冬か秋。それぞれの持つカラーというのがあるとはいえ・・・である。

そんな演歌の冬の名曲の1つに、森昌子の代表曲『越冬つばめ』がある。つばめのほとんどは越冬するのに台湾やマレーシアなどを使うのだが、一部日本で越冬するつばめも存在することはするので(西日本の一部で観測されている)、日本における「越冬つばめ」というのは、全くのデタラメになるというわけではない。念のため。


詞の題材は、報われない恋。実るはずのない恋を抱えた女心の、ある種の分別の無さを、鮮やかに冬のつばめに喩えてえがいている。確かに、マイナー調のメロディもあいまって、雪が降りしきる曇った冬の空が似合う、そんな楽曲である。

流麗な詞もさることながら、「『越冬つばめ』なんて、そんな歌知らない」という人でも、「あ、知ってるわ、これ」と言わせるパワーと普遍性を持ったサビが、何と言ってもこの曲の最大の特徴だろう。この親しみやすい曲を作ったのは篠原義彦。だれあろう、「♪とんでとんでとんで とんでとんでとんで~」で有名な『夢想歌』を作った円広志の別名である。

大衆楽曲において、詞と曲の相乗効果は必須条件。それをマックスにまで活かしきったこの楽曲は、彼女をスターダムへと連れていった。無論、美空ひばりも讃えたという森昌子のヴォーカルがあってのことではあったのだが。

女心の、どうしようもない悲しさと意地をつづった『越冬つばめ』は、現代においても、坂本冬美や中森明菜など数多くの歌姫に歌い継がれている、「永久の日本の冬」と形容し得る、名曲の1つなのだ。


作品情報

・作詞:石原信一
・作曲:篠原義彦
・歌唱:森昌子
・発表:1983年8月21日
・レーベル:キャニオン・レコード







 

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