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■ 2月28日~3月30日にかけて、「日本の伝記」を取り扱います







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『ジャズ・ワルツ』
幻想とジャズが交錯する、ジャズ・ヴァイオリンの佳作

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ジャズ・ワルツ
2003年12月3日 発売
EMIミュージック・ジャパン

01. ジャズ・ワルツ
02. アパッショナータ~情熱
03. ダニー・ボーイ
04. ラグな気分で
05. 魅惑のワルツ
06. 貴婦人のタンゴ
07. 風に舞う
08. 砂の記憶
09. ヒット・アンド・アウェイ
10. アイ・ミー・マイン
11. チルドレン
日本においてメジャーでジャズ音楽を流通させるということは、すくなからず「売れるべきモノ」を要求されるものです。ビッグ・ネームならいざ知らず、ですが。それは、言い方は嫌味かもしれませんが、安定したクオリティの提供に帰結しがちです。

しかしジャズという即興性を希求される音楽ジャンルにおいて、安定した品質の提供などは、安易なようでいて中々難しい事と言えましょう(他の音楽でも同様でしょうが)。その難度の高いパフォーマンスを収録しているのが、日本のジャズ・ヴァイオリニストの第一人者・寺井尚子が2003年にリリースした『ジャズ・ワルツ』なのです。

本格的なジャズメンの演奏は、ややもするとリスナーを選びがちです。ですがジャズの精神を排除しては、そもそもジャズ音楽で無くなってしまいます。ジャズとは即ちビバップでありモードである、ともいえます。寺井尚子は1988年にアーティスト・デビューしたものの初のリーダー・アルバムのリリースは1998年という遅咲きのジャズ・ヒロインであるがゆえでしょうか、その演奏はジャズの基本を徹底的に熟知したもの。かつ、『ジャズ・ワルツ』では演奏に溺れ過ぎずに楽曲の表現を第一にしています。ゆえに、前述した「安定したクオリティ」を実現できているのです。

もともとはジャズ組曲であった1曲目「ジャズ・ワルツ」を再生してみれば、すかさず耳に心地好く響く幻想的な音楽。BGMとして、また夜の音楽としての雰囲気は過不足なく表現されています。それは寺井尚子が自負する立ち位置、則ち「バンドの中の一員」というものに立脚した演奏・バランス・選曲が、ひとつの完成形と言えるほどのテイストを実現している、ということなのです。

今作と併せて彼女のデビュー作『シンキング・オブ・ユー』(1998)や最新作『セ・ラ・ヴィ』(2013)を聴くと、よりお楽しみ頂けると共に、今作の深淵を窺えること請け合いですよ。


寺井尚子 公式サイト








 

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