日本語 | English

■ 2月28日~3月30日にかけて、「日本の伝記」を取り扱います







Atom_feed
『HANA 〜chatte tricolore〜』
ジャズの真骨頂を思わせる、妹尾美里のネコ・アルバム

LINEで送る

『HANA 〜chatte tricolore〜』は、兵庫県神戸市出身の新進の女性ジャズ・ピアニスト、妹尾美里の3作目のオリジナル・アルバム。多くのピアニストがそうであるように、彼女も元はクラシックを幼少の頃より習っていたのですが、ある折、ジャズに転向したというキャリアの持ち主です。

HANA ~chatte tricolore~
2012年12月5日 発売
DIW THE GRACE

01. Coco Ange
02. Chatora
03. Pas de Chat
04. Momo
05. Pandora
06. La Prima Stella
07. Sis
08. Victoria
09. 猫城
10. Hana
クラシックとジャズの違いは、何と言っても譜面のあるなし、及び自己表現の道筋にあると言えるでしょう。クラシックでは、プレイヤーは譜面通りに演奏する事が第一に要求されます。譜面に作曲者の意志があり、それを間違いなく再現してナンボ。その中で演奏者はそれぞれの個性・特徴を発揮する、というのがクラシックにおける自己表現のあり方です。

対して、ジャズでは譜面はほとんどありません。アドリブ、インプロヴィセーションと言われるような、即興と自己主張で音楽を作るのがジャズだからです。同じ楽曲を用いても、テンポ、キー(調)、曲の長さなど、演奏者によってバラバラです。同じ演奏は2度と存在しない、自由闊達な自己表現のあり方。それがジャズという音楽の持ち味なのです。

しかし、いくら自由な気風がジャズの特徴とはいえ、日本はまだまだジャズに対して保守的で、スタンダード曲(カヴァー曲)がないと安心して手に取れなかったり、その人の演奏を聴けなかったり、という風潮が根強くあります。海外では往々にして、「その人からしか聴けない」という希少性や独自性を重んじるのか、オリジナル曲の方が好まれる傾向にありますが。


ところがこの妹尾美里、これまでのアルバム3作、全部自分が作曲した楽曲のみで固めて発表してきたという、日本人ジャズ・ビアニストとしては珍しいケースのミュージシャンです。そこには限りない挑戦の意志と、自分の作曲手腕に対する自信が感じられます。

このアルバムも、ネコ好きの彼女らしく、ネコをモチーフにした楽曲が並ぶという、従来のジャズ・アルバムからはかけ離れたコンセプトで作られました。とはいうものの、「chatte」(メス猫)が本場フランスではセクシャルな意味合いを持つように、可愛いばかりではない、時に妖艶な色気を漂わせる演奏は、聴く者を虜にしてやみません。

自己主張と自由な表現こそジャズ精神の根幹。ならばこのアルバムにこそ、ジャズがあるといえるのではないでしょうか。「HANA」は彼女が飼っていた愛猫の名前から付けたタイトルだそうですが、文字通り、華がある演奏が収録されています。


妹尾美里 公式ウェブサイト







 

『テンダネス』
木住野佳子の慈愛と詩情に満ちたバラッド・アルバム

『アメイジング・トシコ・アキヨシ』
ジャズ・ピアニストの日本代表・穐吉敏子の処女作