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『モーニング・アイランド』
ギャップ萌え必至? ナベサダ流クロスオーバーの傑作

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『モーニング・アイランド』
1979年3月:録音
フライング・ディスク

01. モーニング・アイランド
02. ダウン・イースト
03. セレナーデ
04. ウィ・アー・ザ・ワン
05. ホーム・ミーティング
06. サダオのための小さなワルツ
07. サンバ・ド・マルコス
08. インナー・エムブレイス
あらかじめ断っておきますが、『モーニング・アイランド』はフュージョンではありません。かといって、ジャズでもありません。そのどちらにも属さない、ナベサダの愛称で親しまれるジャズ・ミュージシャン=渡辺貞夫が到達した唯一無二の音楽性、ナベサダ流クロスオーバーなのです。

フュージョンというと、どうしても「電子的」「平板すぎる」などと云われ、ジャズ・ファンの中には毛嫌いする方もいます。アコースティックな音色と緊張感を求めるがゆえ、でしょうか。ですがこのナベサダ流クロスオーバーは違うのです。それは何処が違うのか?

渡辺貞夫は1933年生まれ(今年80歳。うわぉ)の、日本ジャズ草創期を支えたプレイヤーの1人です。そう、彼の音楽は「ジャズの原始」を備えているのです。

彼が上京し、演奏活動を始めた1950年代、「フュージョン」なんて音楽ジャンルはありませんでした。渡辺貞夫は、意識的にジャズを超越しようと、新しい音楽を作り続けました。それらは音楽の壁を越える音楽、クロスオーバーと呼ばれました。そこからフュージョンという音楽ジャンルは定着していったのです。つまり、「フュージョンをやろう」として演奏する今のミュージシャンとは、根っこの部分で違います。このアルバムもフュージョン風ではありますが、基層にあるのはジャズであり、クロスオーバーの精神なのです。

音が優しい。それはヌルい音楽というのではなくて、人間の耳に快適な音選びがされているのです。1曲目から流れくるフルートの音色は島の朝の涼しい光明を思わせます。「モーニング・アイランド」。そのタイトルに偽りなし、なのです。

加えて高度なアドリブ。優しそうな男かと思わせて、とんでもない肉食男だった、でもそんな所がまたステキ☆なんていう女性、たまにいますけど、まさにそんな感じです。難解さと優しさが、「なごやかなドロドロ」とでも言いましょうか、同居しています。ジャズでもない、フュージョンでもない、ナベサダ流クロスオーバーの傑作を、是非一度ご堪能下さい。


渡辺貞夫 公式ウェブサイト








 

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