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■ 8月31日~9月29日にかけて、「2016年のポップス」を(今頃)取り扱います







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『May Dream』
この夢は、aikoの何の予兆なのか

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みなさん、こんにちは。本日は歌手のaikoさんが2016年5月に発表した、彼女の11枚目のオリジナル・アルバム『May Dream』についてです。5月だからMayというのもありますが、このタイトルには「夢を可能にする」などの意味もこめられているそうです。ビューティフル・ドリーマーな感じでしょうか。

初回限定盤にはカウントダウン・ライヴの映像作品か、過去の楽曲4つをリアレンジして再録音した特典CDか、いずれかが付いています。いわゆる複数商法なんですが、aikoさんの場合それをやると、売上が前作と比べてダウンするのが常です。今回も約10万枚と、前作(約12万枚)からすると落ちた結果となってしまいました。


『May Dream』(通常盤)
2016年5月18日発売

ポニーキャニオン


01. 何時何分
02. あたしの向こう
03. 冷凍便
04. もっと
05. 信号
06. 夢見る隙間
07. 愛だけは
08. 好き嫌い
09. かけらの心
10. 大切な今
11. 合図
12. プラマイ
13. 蒼い日


青い下線は執筆者推薦曲を表しています。

Written by AIKO
Produced by aiko & 千葉篤史


さて、aikoさんの楽曲の特徴って何でしょう。女性の心の機微を綴った歌詞でしょうか、それとも耳にした途端「は?」と言ってしまいそうな、ヘンなタイトルでしょうか。いろいろとあると思いますし、どれも正解なのですが、私はやはりあの独特なメロディ・ラインを挙げなくては、と思います。あれこそaikoさんのシグネチャーなのだと。

ちょっとそれっぽく言いますと、aikoさんの曲の特徴は、テンション・ノートやブルーズ・ノートの使い方にあると思うのです。ヘンな所でハネる、コブシをまわす、タメるなど。aikoさんの歌を唄おうとして「なんやこれ、こんな変な曲やったんか」と吃驚した方も多いのではないでしょうか。もっともこれは私の創見ではなく、多くのミュージシャンや音楽評論家が指摘する所です。

今作のトピックのひとつは、アレンジャーが変わったことです。デビュー以来、aikoさんとタッグを組んできた編曲家、島田昌典さんは今作には(少なくともクレジット上は)一切関与していません。収録曲のアレンジメントは川嶋可能さんやOSTER projectに委ねられています。

でもね。先述のように、aikoさんの特徴は独特なメロディ・ラインなわけですから、アレンジャーが変わったからと言って、じゃあその楽曲に目覚ましい変化が見られるかというと、そんなことは━━少なくとも素人の耳にもわかりやすいほどの変化などは━━ないのです。ドラマーなどバンド・メンバーはほぼ今までと同じメンツですし。


誤解しないで頂きたいのですが、私は別にアレンジャー交代が無意味だったと言うつもりは毛頭ありません。アレンジャー交代の意味はどこにあったのか。それはaikoさんの制作姿勢の変化を促すことにあったと私は考えています。

今作の特徴は、アルバム・タイトルからもお分かりのように、歌詞がかなりダイレクトになっていることです。より生身のaikoさんがここには綴られていると言っても良いかもしれません。気心の知れたツーカーのベテラン・アレンジャーを排し、同年代や若手のアレンジャーと組むことになったaikoさんは、楽曲作りにおいてよりダイレクトかつ差し迫ったコミュニケーションを現場で求められたのではないかと愚考します。そしてそのムードが歌詞にも反映されたのではないでしょうか。

今作で目覚ましい変化がないからと言って、アレンジャーの交代は無意味だったとするのは早合点だと思います。aikoさんは詞先、つまり歌詞を先に書いてから曲をあてるという作り方をする歌手です。歌詞が少し変わったということは、いずれ連鎖的に曲にも変化が起こるかもしれません。もしかしたらその変化の予兆が、この『May Dream』には内包されているのかもしれませんね。


aiko official website





 

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