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『Finally』
安室奈美恵による、引退直前の「ベスト」

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『Finally』
2017年11月8日発売

Dimension Point
Disc1
01_ ミスターU.S.A.
02_ 愛してマスカット
03_ PARADISE TRAIN
04_ TRY ME 〜私を信じて〜
05_ 太陽のSEASON
06_ Body Feels EXIT
07_ Chase the Chance
08_ Don't wanna cry
09_ You're my sunshine
10_ SWEET 19 BLUES
11_ a walk in the park
12_ CAN YOU CELEBRATE?
13_ How to be a Girl
14_ I HAVE NEVER SEEN
15_ RESPECT the POWER OF LOVE
16_ NEVER END

Disc2
17_ Say the word
18_ I WILL
19_ SO CRAZY
20_ GIRL TALK
21_ WANT ME, WANT ME
22_ CAN'T SLEEP, CAN'T EAT, I'M SICK
23_ Baby Don't Cry
24_ FUNKY TOWN
25_ NEW LOOK
26_ ROCK STEADY
27_ WHAT A FEELING
28_ Dr.
29_ Break It
30_ Get Myself Back
31_ Fight Together
32_ Tempest
33_ Sit! Stay! Wait! Down!
34_ Love Story

Disc3
35_ arigatou
36_ Damage
37_ Big Boys Cry
38_ Contrail
39_ TSUKI
40_ Red Carpet
41_ Mint
42_ Hero
43_ Dear Diary
44_ Fighter
45_ Christmas Wish
46_ Just You and I
47_ Hope
48_ In Two
49_ How do you feel now?
50_ Showtime
51_ Do It For Love
52_ Finally


青い下線は執筆者推薦曲を表しています。

01.〜39. = New Recording

みなさん、こんにちは。この度は、と言ってもかなり前の話ですけど、歌手の安室奈美恵さんが2018年9月で引退する。これがかなりニュースになりました。で、引退に先立ち、2017年11月に最後のベスト・アルバム、その名も『ファイナリー』をリリースするということも併せて話題になりました。

日本人って、やっぱり「最後の」って冠にくすぐられやすい何かがあるものでしょうか。『ファイナリー』は発売初週でミリオンを達成しました。その前のオリジナル・アルバム『ジェニック』の何倍も売れているわけですから、オリジナル盤ではなくベスト盤であること、それも最後のベスト盤であることが大ヒットの要因になったと考えるのは、そんなに難しいことではありません。

その内容ですが、過去の音源を極力使用していません。52曲中39曲は新たに録音しなおした音源になります。新録は2017年の5月あたりから着々と進められていたらしいのですが、多大な労力とお金と時間を費やしてまでそうした意味は何でしょう。

リスナー、それも熱心なファンではなくて、昔の安室ちゃんしか知らないけどニュースに触発されて購買に至ったというような層には、リリース当時の音源である方が親切です。「昔の曲は昔の安室ちゃんの声で聴きたかった」。彼らの多くはそう思うに違いないのですから。

安室さんだってそれは重々承知していたはずです。でも、そうしなかった。それはなぜか。問題を解く鍵はジャケットの曲目表にあると愚考します。それは右の曲目表の通りなのですが、52曲あると一瞥で判断できますよね。

しかしその代償として、たとえば「ミント」はディスク3の何曲目かというのは分かりにくくなっています。計算するか数えるかしないといけません。この不親切な意匠を採用した理由はひとつしかありません。曲数の52は25周年記念の意味で採用された数字でしょうが、この52曲でひとつの作品である。この52曲こそ、彼女のキャリアの締め括りに相当する「ベスト」である。彼女のそういった意思表示であるとしか、この不親切な意匠は説明がつかないのです。

そう考えると新録音が圧倒的多数なのも納得がいきます。これらは新たに録音しなおされなければならなかった。なぜなら安室さんのキャリアの最終地点での「ベスト」なのですから、最新の安室さんの声で唄われていなければ、ひとつの作品としての統一感が無くなってしまうのです。別言すれば、キャリアの終点まで(つまり実際に引退する日まで)一切の妥協も出し惜しみも無く駆け抜けるという彼女の宣言でもあるととれましょう。

個人的な感想になりますが、「太陽のシーズン」あたりのヴォーカルには、うら若きティーンネイジャーの頃とは明らかに違う、熟女としての安室さんを感じました。「抱きしめて~」というサビ頭には、クールさではなく情念を感じ取ってしまうと言いますか。いずれにしても、安室さんのキャリアの最終到達地点がここには収められているわけです。想い出や郷愁ではなく「今」を感じて欲しい。彼女のそんな想いが、これら52曲の連なりを裏付けているのではないでしょうか。


安室奈美恵オフィシャルサイト





 

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