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『ダブル・フェイス』
青木智仁の二面性に触れる

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今の若い人は、友達がいないだけで人間として欠陥品扱いされるんじゃないか、なんて危機感を抱えている人が多いそうです。はなはだしい場合には、独りでランチを食べることが格好悪いと思い込み、トイレにこもってお弁当を食べる学生までいるんだとか。せっかくのメシが不味くなるぜ。


『ダブル・フェイス』
1989年7月5日発売

BMGビクター

01. Triboro Bridge ~Memories of M.K.
02. Mr. J. F. P
03. Forgive Me
04. Don't Ever Hurt Me
05. Linda
06. Amboseli
07. Risa
08. 砂の女
09. Manhattan Love Affair
10. With A Little Help From My Friends
11. Risa Reprise


プロデュース: 青木智仁、角松敏生

別に友達なんかいようがいまいが、どうってことではないと思いますが、そういう価値観が蔓延しているのです。では誰かと友達になるとはどういうことか。平たく言えば、自分の中にない価値観や世界を自己に取り込むことでしょう。であるならば、友達になるのは別に生きた人でなくても良い。故人とだって、その故人が残した作品を通じて友達になれる。青木智仁の『ダブル・フェイス』を聴いて、つくづくそう感じます。

カンタンにおさらいしますと、青木智仁とは、ちょうど十年前、二〇〇六年にこの世を去った、日本の敏腕ベーシストです。フュージョンの世界のみならず、ポップスでも活躍した彼のプレイは、正に技巧派と呼ぶに相応しいもの。とは言え、あくまで出しゃばらず、ヴォーカルやギター、サックスなど他のパートをうまく引き立たせるあんばいが、これまた絶妙なのです。

彼のソロ・デビュー作である『ダブル・フェイス』においても、その精神は、見事につらぬかれています。ギターの角松敏夫や鈴木茂、サックスの本田雅人や平原まことを引き立ててナンボのベース・プレイ。が、少なくともその楽曲に関してこれ以上は無いほどのワザとセンスをふんだんに盛り込んでいます。『ダブル・フェイス』とのタイトルはつまり、「ベーシストの青木」と「音楽家としての青木」の二面性がここにはあるという証左に他なりますまい。

より現代的な音でソロ・ミュージシャン、青木智仁を堪能したい方は、次作の『エクスペリエンス』に進まれるが良いでしょう。青木のソロ作品は二作しかありません。ただし、いや、だからこそソロイストとしての青木を知るには、今もって『ダブル・フェイス』がマスト・アイテムとなるのです。



『エクスペリエンス』
2000年7月26日発売

BMGビクター



十年前に青木はこの世を去りました。しかし彼の作品は今もどこかで売られています。彼の作品から、彼の精神、イズム、在り方、価値観を自由に汲み取り、あなたのものにして頂くことは出来るのです。

え? 「故人と友達になるとか、さみしすぎんだろ」と言いますか? しかしあなたの友達が、友達として五十人をアドレス帳に登録しているとします。その場合、あなたの価値は五十人のうちの一人でしかないのです。正直いてもいなくても大差ありません。そっちの方がさみしい気がしませんか?

それよりは、作品を通じて故人と友達となり、揺るぎない価値観を共有できる方が、よほど有意義と思います。







 

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