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『HEART STATION』
宇多田ヒカルの歌と共に探る、心の在り処

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重くのしかかるような冬の灰色の空を見上げ、年末というせいもあって、思う。今年は良い年だっただろうか、と。そしてポジとネガというふたつの側面から数々の出来事を想起し、その果てに答えが出せない自分を軽く嗤う。


HEART STATION
2008年3月19日

EMI Records Japan
価格: 2,913円+税
01. Fight The Blues
02. HEART STATION
03. Beautiful World 
04. Flavor Of Life -Ballad Version-
05. Stay Gold
06. Kiss & Cry
07. Gentle Beast Interlude
08. Celebrate
09. Prisoner Of Love
10. テイク 5
11. ぼくはくま
12. 虹色バス
13. Flavor Of Life

青い下線は執筆者推薦曲を表しています。

全作詞・作曲: 宇多田ヒカル
つまるところ幸せの在り処は人の心の中にしかない。では、その心の在り処はいったい? こんな季節は特に、そんな疑問にそっと寄り添ってくれる音楽が必要だ。宇多田ヒカルが2008年・春に発表した『ハート・ステーション』のような音楽が。

ステーションという英単語には、「駅」という意味の他に「基地」「拠点」という意味も含まれている。このアルバムは恐らく、宇多田ヒカルのディスコグラフィーの中でもっとも「心」の拠点を素直に表現したアルバムだろう。

アルバムのスタートを飾るのは、「ファイト・ザ・ブルーズ」。♪くよくよしてちゃ敵が喜ぶ~♪と歌われる、憂鬱と対峙する曲だ。しかし、歌詞で言うと、一方的な応援歌などではなく、自分の中の弱さと強さを再確認するという根気がテーマとなっている。

ジェネラル・プロデューサーの三宅彰は、「このアルバムの95%くらいは宇多田ヒカルがひとりでやっていると言ってもいい」という言葉を残しているが、1人で何でもやろうとするコトと独り善がりは、似て非なるもの、というか、全く性格の異なるものである。

宇多田ヒカルはなぜ『ハート・ステーション』のほとんどの作業を独力で進めたのか。才能や予算の問題ではない。自分以外の人間への不信でも、恐らくない。このアルバムのテーマでもある「心」、言い換えれば「素のままの自分」を表現するのに必要な布陣だったのだと考えられる。自分と向き合って、自浄し、生まれたアルバムこそが『ハート・ステーション』なのだ、と。

他の宇多田アルバムと較べると、歌詞と声に母性や公共性などを感じさせもするが、それも年齢を重ねたというのだけではなく、経験と感情を再確認するという、自分を捉える作業のうちでの賜物だったのではないだろうか。







※参考文献:
『ワッツイン』2008年4月号 ソニー・マガジンズ


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