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『無人駅』
古典芸能の中での女流新風、か?

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先生(以下:S):今回はアシスタント=Aと、元AKB48の演歌歌手、岩佐美咲の「無人駅」について、いってみよう。

A:思えば先生との掛け合いは演歌の「まつり」から始まったわけで、ある種の原点回帰ですね、先生!

S:あれから5年も経ってるなんて信じたくない!


A:(無視して)これが岩佐のデビュー曲なんですよね。2012年。当時はまだAKB48や渡り廊下走り隊7に在籍しながらのデビューでした。秋元康がプロデュースしたアイドル・グループから演歌歌手デビューとなると、おニャン子クラブのお城こと城之内早苗が連想されますけど、先生。

S:城之内の場合はもともと演歌歌手志望だったらしいけど、岩佐の場合はどうなんだろう。AKB48に加入したのが2008年。その頃から「歌謡においては岩佐の右に出るものはいない」と評されるくらいブイブイ言わせてたのかな。その辺は判らないんだけど。

A:ちょっと実際の唄を聴いてみましょうか、先生。


S:新人らしい硬さは感じるかなぁ(笑)。でも味はあるというか、これからに期待は出来る気はするけど。その後、今年まで脈々とシングルは出せてるわけだし。

A:ただ、これで演歌界が盛り上がるとはならなかったんですよね。当時はAKB48といえば、前田敦子の卒業がトップ・ニュースになるくらい人気絶頂だったんですから、ちょっとは盛り上がっても良さそうだったんですけど。

S:演歌界は盛り上がらないよ(笑)。'80年代を境に、良く言えば古典芸能の域に達した、悪く言えば流行にコミットできるジャンルじゃなくなっちゃったんだから。ジャズと一緒。それは岩佐の個人的資質とは何の関係もない。

A:と言いますと、先生?

S:演歌は日本の心、なんて思い込みが昭和時代には通用したでしょ。あれは中山晋平からのラインなんだけど。でも、その辺りを当時のニュー・ミュージック出身の歌手、たとえば中島みゆきやさだまさしが、担いはじめちゃったから。「日本の心」は流行歌(ポップス)でも聴けるようになった。そうなると演歌は、流行歌のジャンルからはお役御免、古典芸能行き、と。

A:そうすると岩佐は、その古典芸能の中で━━

S:やっていくしかない。でも、当今のポップス業界を見ると、その方が安定してて良いんじゃないかとも思うよ。これ、B面にある「ヘビーローテーション」の演歌ヴァージョンも味があるし。


作品情報

・作詞:秋元康
・作曲:久地万里子
・編曲:野中“まさ”雄一
・歌唱:岩佐美咲
・発表:2012年2月1日
・レーベル:徳間ジャパンコミュニケーションズ







 

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