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『REFLECTION {Drip}』
「ミスチルのこれから」の予告編と捉えるべきか

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もはや日本のポップスの代表的存在、Mr.Children(以下、ミスチル)が、2012年から3年ぶりに放った18枚目のオリジナル・アルバム『REFLECTION {Drip}』。23曲収録のUSBアルバム『REFLECTION {Naked}』(完全生産限定のため、現在は入手困難)と同時発売。その23曲を14曲まで厳選し、CDに収めて聴きやすくしたのが今作である。


REFLECTION {Drip}
2015年6月4日発売

TOY'S FACTORY

01. 未完
02. FIGHT CLUB
03. 斜陽
04. Melody
05. 蜘蛛の糸
06. Starting Over
07. 忘れ得ぬ人
08. Reflection
09. fantasy
10. REM
11. WALTZ
12. 進化論
13. 幻聴
14. 足音 ~Be Strong


青い下線は執筆者推薦曲を表しています。

全作詞・作曲: 桜井和寿


BONUS DVD (初回盤のみ)
1. RECORDING OF REFLECTION {Drip}&{Naked}



なにしろ60代の高齢層から10代の若者まで幅広いリスナーを持つミスチルであるからして、今作をどうこう明確に定義づけるのは難しい。前作『[(an imitation)blood orange]』を聴いて「何だよ、これ・・・」と思った人なら、「ミスチルが帰ってきた」という感想を持つだろうし、ミスチルと言ったってヒット曲しか知りませんという人には、代わり映えしない感じに聴こえるかも知れない。

「Reflection」という単語の通り、楽曲がそれぞれに反射しあって輝きを放つ。が、1曲目を「未完」とし、シメを「足音~Be Strong」としてあることから、ミスチルはここを転換点とし、ここからまたポップ・モンスターとして歩いて行こうとする意志に満ちていることがよく分かる。上位版である『{Naked}』でも「未完」はシメに配されているから、やはりカギとなるのはこの楽曲だろう。

「未完」で歌われるのは、甘酸っぱい恋の景色でもなければ、誰かを鏡にして人生を悟るような境地でもない。現状から出て、まだ先へ行こうとする青臭い意志だ。「未来へ続く扉 相変わらず僕はノックし続ける」と唄われるが、この意志こそ現在のMr.Childrenなのだろう。それは、彼らからの「これから先のMr.Childrenにも期待して下さい」というメッセージとも取れる。

どうしても今作には、デビュー以来、袂を連ねて来た小林武史プロデューサーとの決別というニュースが付きまとうが、今作でも小林との共同作業は何曲かで実施されている。以前よりは距離を取っているが、という印象だ。ミスチルにとって小林は、良質なポップスを作るための良きパートナーではあるが、もう以前ほど絶対的な存在ではない、ということだろう。

ミスチルの「これから」の予告編である今作を聴き、彼らの未来に胸をはずませる・・・酔狂だろうか、しかし悠々とした楽しみだと思う。そんなポップスの楽しみ方があったって良いのではないか、と。


Mr.Children OFFICIAL WEBSITE