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『スプリング・イズ・ヒア』
若き日の小曽根真の敗北

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『スプリング・イズ・ヒア』
1987年4月22日発売

CBSソニー

1. Beautiful Love
2. Spring Is Here
3. Someday My Prince will Come
4. On the Street Where You Live
5. The Night Has a Thousand Eyes
6. My One and Only Love
7. O' Grande Amore
8. Tangerine


『スプリング・イズ・ヒア』は、1987年にリリースされた、ジャズ・ピアニスト小曽根真の初となるスタンダード集。今からざっと30年前の小曽根の作品です。小曽根がレコード・デビューを果たしたのが1984年ですから、正にそこには若き日の小曽根が記録されている、と言えましょう。

内容に触れる前に、まずはタイトルについて。「スプリング・イズ・ヒア」とは、1938年にミュージカル『私は天使と結婚した』のために書かれた楽曲です。邦題は「春が来たというけれど」。歌詞の解釈はそれぞれに委ねるところですが、春の陽気とは裏腹に、なんとも悲しい、寂しい気持ちが邦題を読んだだけで伝わってくるようではありませんか。ちなみにかのマイルス・デイヴィスも、1961年にカーネギー・ホールでこの曲を演奏し、それを盤として残しています。

さて、内容は、このタイトルが示す通りなのです。ベースにジョージ・ムラーツ、ドラムスにロイ・ヘインズを迎えてのトリオ編成で、小曽根のピアノが乱舞します、が・・・。

いかに将来を嘱望された小曽根と言えど、やはり若さには勝てなかった。ベースやドラムスのベテラン演奏に、完全に呑まれています。スタンダード楽曲で、ひねりのない真っ向勝負をしているがゆえに、ピアノの未熟ぶりが際立つのです。ベテランのジャズ・ミュージシャンと組み、スタンダードを演じるという「春」は来た、けれど・・・ってところです。日本人としては、そこにやはり寂しさを感じますね。

断っておきますが、だから日本人のジャズはダメなんだ、なんて結論ではありません。誰でもあるじゃないですか。若さゆえの敗北だとか、未熟な挑戦だとか。これは若き日の小曽根のそれを記録しているだけで、それ以上の意味は恐らく、ない。

だからこそ『スプリング・イズ・ヒア』は、もう若くない人達にこそ、響きます。是非、若き日の蒼さを思い出しながら、もう若くない人達にこそ聴いて頂きたいのです。



小曽根真 Makoto Ozone Official Website






 

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