日本語 | English

■ 3月31日から4月29日にかけて、時計をフィーチャーいたします。







Atom_feed
『UNITED COVER 2』
「愛には形がないよ」とか言うけど・・・

LINEで送る


UNITED COVER 2
2015年7月29日発売

ユニバーサル ミュージック

01. シルエット・ロマンス / 大橋純子
02. 黄昏のビギン / 水原弘
03. リンゴ / 吉田拓郎
04. リフレインが叫んでる / 松任谷由実
05. 有楽町で逢いましょう / フランク永井
06. 夜霧よ今夜も有難う / 石原裕次郎
07. 女神(※新曲)
08. 瞬き(※新曲)
09. あの素晴しい愛をもう一度 / 加藤和彦と北山修
10. I WILL / The Beatles
11. 夢で逢いましょう / 坂本スミ子
12. SAKURAドロップス / 宇多田ヒカル
13. 氷の世界 / 井上陽水


青い下線は執筆者推薦曲を表しています。


プロデュース: 井上陽水

井上陽水が、カヴァー・アルバム第二弾『UNITED COVER 2』を、今年発表しました。前回が2001年でしたから、実に14年ぶり。ベテランともなると、創作ペースが若手時代と比べてのんびりしがちなものですが、それにしたって随分と久し振りなもんです。というか正直な話、2があるとは思っていませんでしたよ。

で、内容はと言えば、幅広い年代のヒット・ソングをカヴァーし、その合間にオリジナルを挟んできています。もはや60代半ばの陽水ですから、声そのものには、かすれなどもあります。裏を返せば、陽水を聴き続けてきた人向けの盤ということにもなります。

どういうことかと言いますと、長く連れ添った夫婦を想像してみてください。お互い知り合った頃は、肌にツヤもあったでしょうし、たくましさ、しなやかさなどもあったでしょう。具体的なポイントを言えば、お互いに老化し、マイナスになっている所が多いはず。それでも彼らは、お互いを称え、愛している。

長く愛し愛されていると、お互いを長所とか短所でいちいち計らないし、美も醜もひっくるめて受け容れられるものなのです。私は結婚していませんから、実感としては分かりませんが、きっとそれが絆であり、信頼関係なのでしょう。素直にうらやましいと思います。

その関係は、歌手とリスナーの間にも形成され得ます。長く陽水を聴き続けてきた、陽水への愛がいくばくかある人は、声質の変化すらいとおしく思えるはずです。翻って、声がどうとか難クセをつける人は、クレーマー気質の人か、人を愛せない人か、ビギナーかのいずれかでしょう。

余談ですが、2015年10月、このアルバムのコンサートに行ってきました。あいも変わらず、陽水の声のトーンや声量は素晴らしかったですし、サービス精神旺盛なステージでした。自分勝手な解釈ですが、大人の隠れ家というか、共犯関係をひっそり結ぶ個室みたいな、甘美なひと時だったのです。



井上陽水 オフィシャルサイト






 

『DREAMS COME TRUE THE BEST!私のドリカム』
ドリカムのベストが示す、日本の音楽産業の問題点

『RHINOCEROS』
14曲を通して打ち出される現在のポルノグラフィティ