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高松和傘
It's Dying It's not Dying

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結論から言おう。高松和傘を買うなら今のうちである。今を逃すと、おそらく二度と、この伝統工芸品は手に入らないからだ。今を逃すと、今この記事を読んでいるあなたが高松和傘に触れる機会は、きっとない。

そもそも高松和傘とは何か。香川県高松市で作られる和傘のことだ。作り方が通常の和傘と異なり、簡略化が図られているのだとか。県の伝統工芸品に指定されているものの、その生産量は大正時代をピークとし、後は減少傾向にある。

今月十四日、香川県庁商工労働部に確認したところ、県内で高松和傘を作っている業者は「一社しかなくて、しかもほとんど生産はしていない」とか。ごくストレートにいえば、高松和傘は絶滅寸前なのだ。聞けば、高松和傘作りでは、もはや食って行ける状況ではないという。



「絵日傘(高松和傘)五寸 うま」

価格: 税込5,000円

平成二十六年十月、香川県は一年間の出生、死亡、転入、転出の年齢別データを推計し、こんな統計調査結果を発表した。「老年人口は過去最高を更新、生産年齢人口は減少続く」と。このデータによると、年少人口(〇~十四歳)は老年人口(六十五歳以上)の半分にも満たないから、この傾向は、残念ながらくつがえらずに時間が過ぎるだろう。

これが何を意味するのか。高松和傘は継承されずに、間もなく姿を消すということだ。現在、高松和傘を作っているのは、県内で六十代の夫婦が営む一店のみだ。傘を作って食って行ける状況ではない以上、後継者など育ちようがない。そもそも統計調査にある通り、後継の候補者となる年齢層そのものが減少傾向にある。そんな先細りの状況下では、今は幼い年少世代も、その大半が、やがては県外に職を求めて去るだろう。




高松和傘は現在、絶滅寸前である。尚かつ、上述の店主は六十五歳で傘作りを辞めると宣言しているというから、今後五年以内には絶滅し、もう二度と作られなくなる可能性が高い。やはり、高松和傘を買うなら今のうち、なのだ。


絵日傘(高松和傘)-工芸品- さぬき産業工芸館 サン・クラッケ





 

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