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■ 3月31日から4月29日にかけて、時計をフィーチャーいたします。







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アルティメット・ニッパー
「究極」は続かない?

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こんにちは。突然で恐縮ですけれど、模型をつくるときには、当然ながら模型だけでは完成には至りませんよね。つくり手が必要ですし、その人が使う工具も必要になってきます。そして往々にして、模型をつくりたがるのは男で(女のモデル・ビルダーさんもおられるんでしょうが、私の周りには一人もいません)、男は道具にこだわりたがるもの。そんな男のスキを突いた工具が、新潟の会社ゴッドハンドがつくる「アルティメット・ニッパー」ではないかと思います。

アルティメット・ニッパー。文字通り、究極のニッパーです。でもね、申し訳ないんですけれど、会社名の「ゴッドハンド」といい、商品名といい、どうも不遜を感じるというか、手離しで推奨はできないんですよね。



このニッパー、よくある「職人の技がつくる究極の〇〇」のたぐいです。新潟の職人さんが手作業でつくった、切れ味のよろしいニッパー、ということになります(材質の特殊鋼は神戸製鋼所製)。いきおい、普通のニッパーより高値になっていますが、人件費を考えれば致し方のない所でしょう。

それで何が悪いのか。このゴッドハンドという会社が設立されたのが2010年。アルティメット・ニッパーが市場投下されたのが翌年。問題は、その時点でゴッドハンド(神の手)、あるいは「究極」なら、その後はひたすら落ちるしかないだろ、という所だと思うのです。そんなのは言葉の上での問題に過ぎない。こう思う人がいることは不思議に思いませんが、でも本当にそうなんでしょうか。

定められた言葉が私達の行動や現実を規定する。そんなことだってあるんじゃないか、と思います。四国のお遍路巡りだって、具体的に何かいいことがあるから巡るのではなく、お寺の数と順序が定められているから巡りたくなるものです。であれば、ゴッドハンドのアルティメット・ニッパーは、市場投下されて以降は、レベル・ダウンすることはあってもアップすることはない、ということにならないでしょうか。



実の所、このニッパーは世代交代ごとに改良が加えられているとのことです。それなら初期のやつは「究極」じゃないじゃんかよ。揚げ足を取るわけではないですけど、こういうツッコミも成立してしまうでしょう。

それに「職人技」でつくられているメリット(の一つ)とは、アフター・フォローが充実していることだと思います。なればこそ、信用して高い買い物ができるという側面があるはずです。しかし、ゴッドハンドは「刃研ぎメンテナンス」の受付を休止しました。どんなニッパーでも経年劣化は避けられません。それは仕方ない。けれど職人さんが刃研ぎをしてくれるなら、多少高くても良いニッパーを長く使う方がいいだろう。そう信じてアルティメット・ニッパーを買い、愛用していた人達はどうなるのか。なにしろ特殊鋼ですから、素人が万全に研げるとは限りません。畢竟、買い直しを余儀なくされるのです。

かの会社には彼らなりの止むを得ない事情もあるのでしょう。しかし、僭越ながら、こういった企業姿勢を私は評価できない。「いい道具」を欲しがる男のスキを突いたネーミングは「ウマイ!」と思いますが(それで出来上がる模型の質がどのくらい左右されるのかは判りませんが)、商売のやり方は劣化してきているように見受けられる所で、やはり推奨はできないのです。







 

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