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木龍(モックル)
日本ならではの木のオーダー自転車を、人生の供として

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生きていくためには、住む場所や自らの境遇を、あるていど変え続けなければならない。それは、人が赤ちゃんのまま生きられないことからも分かるだろう。さりとて、「三つ子の魂、百まで」といわれるように、性格や志向など、それほど変わらないのも、また人なのだ。つまり、人生とは変容と不変から成立する、と言える。

デザイナーの安田マサテルが、大阪芸大に在籍していたころ、「自転車が好きだったんだけど、フツーの自転車は作りたくなかった」という動機のもと、作り上げたのが、「木龍(モックル)」。木のフレームから成る、オーダーメイドの自転車だ。

もっとも、フツーじゃない、というだけの奇をてらった珍品というのではない。自転車の歴史をたどれば、もともとは木で出来ていたのだから、自転車のバック・トゥ・ベーシックでもある。また、日本は、ノルウェーなどと並ぶ、世界でも指折りの森林大国。そんな日本の特性を活かした自転車でもあるのだ。

安田はその後いったん「木龍」を封印し、2002年、自転車の本場・イタリアへ渡り、自転車作りの修行を10年間積んだ。そして、彼が手掛けた金属製の自転車がツール・ド・フランスで使われるまでに技術を高め、2012年に帰国後、長野県に拠点をかまえ、そのクオリティをより磨いたカタチで、あらためて「木龍」を再開した。


クオリティを磨いた、とは、何も製造技術だけではない。材質が木である以上、乾燥によって割れたりする危険性もある。その弱点を補うため、木にカーボンを組み合わせ、安全性を保障するなど、「商品としての自転車」のプロデュース力も向上したわけだ。

しかし、安田は「こだわりなんてないです」と語るように、けっしてアーティストが芸術品を作る感覚で、「木龍」を作ってはいない。大事なのは、ユーザーにとってその自転車がフィットすること。そのために、ユーザーと直接会い、その人を知ることで、自転車を可変的に作るという。いわく、「フレームが木でなくても、その人が、金属が良いといえば、そっちでも作りますよ」とのこと。

それは、基本精神として、「こだわらない」ことにこだわっている、とも言える。自転車としての品質は折り紙つき。その上で、流動的にユーザーに沿うカタチを忘れない。そこには、デザイン、品質、すべてにおいて、変えることをみじんも怖れないからこその不変の良さが存在する。

人生は、変容と不変から成立すると先述した。つまり、「木龍」は人生を体現するカタチで作られる自転車でもあるのだ。そしてそれゆえに、「木龍」は高価格ながらも、多くの人に人生の供として選ばれ続けているのである。



価格はお問い合わせください。



お問い合わせ先

・店名: アトリエ・キノピオ
・デザイン: 安田マサテル
・住所: 〒399-4604 長野県上伊那郡箕輪町 福与444-2
・電話: 0265-95-4860
・ホームページ: Kinopio







 

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