日本の冬、特に年末年始は、甘酒であったまろうという人も多いのではなかろうか。初詣などの際、甘酒を振る舞う寺社など、見かけた方も多いことだろう。
あにはからんや、古来より甘酒は、暑気払いに効果的であるとして夏の季語として使われていた。味わうものとしてのみならず、その栄養価の高さから「飲む点滴」と称されるほど栄養ドリンクとしても充分な価値を持つ甘酒。
もっとも一口に甘酒といっても、大きく分別すると2種類ある。湯に酒粕を溶き、加糖して甘味付けをする簡易製法。一般的な家庭での甘酒といえば、簡易製法でのものが主だろう。
もうひとつは米を発酵させ糖化させることで甘みを付ける、米と米麹から作る本格製法だ。米を発酵させて甘くするというのは、昔「ご飯を噛み続けていると甘く感じるよ」と云われたものと同じ要領である。あれは科学的にいうと、唾液の力で発酵・糖化が進むわけだ。砂糖を用いないため、その甘みは簡易製法のものよりさっぱりしている。
とはいえ、現代の日本人消費者は甘いものに慣れ過ぎた人が多いためか、この本格製法で造られた甘酒に砂糖を足すなども、ままあることだとか。