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■ 3月31日から4月29日にかけて、時計をフィーチャーいたします。







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「勝山 伝」
勝山酒造からの、作り手としてのメッセージ?

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日本においては不景気がとまりません。GDPがどうのこうの言う以前の問題として、年金はカットされまくるわ、労働賃金は不当に低くおさえつけられているのに物価だけが上がるわで、消費者は選択の余地もなく、低価格のモノを選ばざるを得なくなっています。日本は「老人天国」なんて揶揄されますが、私の周りの老人たちは、日々の食費も節約しようと、水筒を持ったり、朝食をカットしたり、涙ぐましい倹約をしています。これで景気が上向いているなどと考えられる方が変です。景気が上向くということは、一般の生活の最低水準が上がることなのですから。

お酒の記事ですが、社会派なイントロになってしまいました。しかし、これが本文とリンクしますのでお付き合いください。宮城県の勝山酒造は1688年創業の日本酒の老舗ですが、彼らの造る酒はこの時代に相反するかのような、いわゆる「高級路線」だからです。ここにモノつくりの妙があります。普通、不景気なら、より低価格なモノが市場において支持されるはずなのに、彼らの高い酒は国内外から支持されています。それは品質本位だから。つまり高品質であるがゆえに高価格になっているから、なのです。



純米大吟醸『勝山 伝』

内容量: 720 ml
原材料: 米、米麹
アルコール度数: 16
価格: 税込5,400円

「高級」以前に、日本酒の定義を考えてみましょう。それは言うまでもなく、純米酒、つまり米からのみ造られる酒であり、その他の余計な添加物があれば、日本酒として定立しないはずなのです。戦後、日本酒業界は、醸造アルコールを添加した酒が広く流布しました。簡単に言えば、添加物によっての水増しが図られた酒ですね。最寄りのお酒売り場で並んでいる日本酒の原材料欄を見てください。「醸造アルコール」記述がある酒が大半だと思います。

しかし勝山酒造は、造る酒すべてが純米酒。また、生産量も少量に抑え、品質第一主義をとことん貫いています。その味わいと飲み心地は素晴らしく、彼らの日本酒は、ANAの国際線のファースト・クラスの機内食として用いられたキャリアを有します。何が高品質のポイントかは複数の要素がありえますが、ひとつは、遠心分離装置を導入するほどこだわった「搾り」でしょうか。この「搾り」の方法の違いから生まれたブランドのひとつが『勝山 伝』です。



純米大吟醸『勝山 伝』

内容量: 720 ml
原材料: 米、米麹
アルコール度数: 16
価格: 税込5,400円


資本経済に基づいた商売において、コスト・カットは重要です。特に不景気であればなおのこと、無駄を省き、経費を省き、時に品質を犠牲にしてまでも、貧しくなった消費者にも買えるような低価格路線にシフトせざるをえない企業が多数あります。しかし勝山酒造のように、品質を第一に設定し、人々を魅了し成功したケースは、そこに「待った」を掛けているようにも思います。もともとお金は生活や経営の手段でしかなく、お金に支配されて造るモノの品質を下げるのは、作り手として本末転倒だろう、と。

『勝山 伝』から伝わるのは、そのうまみやふくよかさのみならず、メーカーとしての彼らのプライドでもあるような気がします。


仙台伊達家御用蔵 勝山酒造




 

「妙花闌曲」
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