お酒にしたって、ポリシーは蔵それぞれにあるものです。私の日本酒に関するポリシーは、「純米酒以外は日本酒と認めねぇ」ですが、さて、九州は福岡県を代表する酒蔵、杜の蔵。日本酒ばかりでなく梅酒や焼酎も造っている蔵ですが、ここでは食との相性の良さを至上命題として、お酒を醸しているのです。
「杜の蔵」の創業は1898年。日本中を探せば、何百年と続く酒蔵も珍しくない酒造業界にあっては、老舗と形容するのは、ややはばかられますが、それでもフツーに考えて、一世紀を超えての経営ですから、凄いことだと思います。
純米大吟醸『杜の蔵』
内容量: 720ml
原材料: 米(山田錦)、米麹
アルコール度数: 16
価格: 税込3,240円
さてさて、杜の蔵も私の日本酒の指針にズレていません。彼らが造る日本酒はオール純米仕込み。ただしそれは、百年を超える歴史があるからだとかではありません。
杜の蔵が、造る酒すべてを純米酒にしたのは2005年。そこに至るまで段階的に純米酒仕込みにシフトしてきました。そもそも、彼らが純米酒を商品化したのは1981年。決して最近とは言えませんが、彼らの長い歴史においては、後半にあたります。
純米酒はアル添酒などに比べて、食との相性が幅広いものです。だからこそ、彼らは純米酒仕込みへとシフトしたのではないかと推察されます。彼らの酒に使われる米は福岡産ですが、実際、博多雑煮やエツ料理など、土地(ところ)の食との相性はベストです。蔵のポリシーが、そのまま酒にあらわれる好例と言えるでしょう。