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『ルパン三世』
すべての「リーダー」たる者は、まず、ルパンを目指せ

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日本人には、リーダーシップが欠けているといわれ続けて久しい。確かに、国際舞台でも大国に付き従うのみのポジションに徹し続けているし、国や自治体のヴィジョンを、自分の言葉で語る政治家なども数少ない。そもそも、彼ら自身が「就職活動の一環でなった人達」、つまりサラリーマン意識しかない人が多数なのだ。


しかし、人は他者と関わりあわなければ、その社会活動はおよそ成り立たないし、極論をいえば生きてゆけない。その中で集団・組織は必要になる。ならば、リーダーは必要不可欠だ。そして、「どうせなら」という言い方は適切ではないかもしれないが、良質なリーダーを持つ組織が多くあることが望ましい。では、リーダーとは一体いかなる資質を要求されるものなのか? そのカギは、モンキー・パンチの代表作『ルパン三世』にある。

一般に、日本で『ルパン三世』といえば、アニメの方が馴染み深いだろう。「間の抜けた女好きの泥棒」といった感じの印象を持つ人が多いかと思う。しかし、本来の、漫画におけるルパンは少し違う。

原作におけるルパン三世は、「冷徹」「非道」「豪胆無比」「頭脳明晰」などのキーワードで語られるに相応しい、文字通りの怪盗であり、アニメのようなお茶目で愛されやすいキャラクターではないのだ。必要なら女性も殺すし、アニメほど優しさを前面に出さない。あくまで知的で、その他大勢の、そして読者の裏をゆく。ライバルである銭形警部も、手段を選ばない狡猾かつ大胆なキャラクターとして描かれている。


さて、ルパンの怪盗仲間に次元大介という射撃の名人や、石川五ェ門という剣の達人がいる。彼らはいずれもひとかどの者だが、ルパンに付き従う。それは、彼らが「手足」として優秀であっても、「頭脳」という面ではルパンに劣るからだ。加えて、ルパンは活動の中で彼らの願望も見事に叶えてやったりと、人望を得るに相応しいアクションを取る。

つまり、組織を人体に見立てるなら、手足は頭脳を信頼しているし、頭脳は手足(つまりは自身の体である)に細心の注意を払っている。こういった集団・組織は磐石たる体勢で、活動にのぞめるだろう。翻していえば、このような体制のない集団は、得てして支離滅裂になりがちだ。

他にも、ルパンのリーダーとしての魅力は、漫画の随所に散見される。老若男女は問わない。すべてのリーダーたる立場にある人は、生半可な啓発書などよりも、すべからく『ルパン三世』を読んで、楽しみながら、優れた統率者へと精進して然るべきではあるまいか。


作品情報

・作者:モンキー・パンチ
・出版:双葉社
・連載期間:1967年8月~1969年5月







 

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