「だった」と書いたのは、紙媒体としては2015年5月で休刊。ウェブ版、電子書籍で『週刊アスキー』の名が冠されたものが残るのみとなったからだ。そうなる直前、つまり2014年10~12月の発行部数は、およそ9.6万部だった(日本雑誌協会調べ)から、むべなるかな。
週刊アスキー 2015年 6月9日号
日本で最初の、そして唯一残っていたパソコン系情報誌だっただけに残念がる向きも多いだろうが、これも当然ではなかろうか。というのも、すでに近年、時代の風に合わせてか、パソコン系の情報はほぼ載らなくなっており、スマホに関する記事ばかりが見受けられたからだ。そして少なくとも私の周りにいるスマホ・ユーザー層は、皆、『週刊アスキー』を知らない。知っていても読んだことが無い。
何が言いたいのかというと、「スマホを使う人」と「スマホの情報を欲しがる人」はイコールではない、だ。確かに電車や喫茶店を見ても、スマホをいじる人は、やっていることはそれぞれ違うだろうが、スマホに耽溺する人は増えた。だが、彼らはスマホに関する情報などたいして必要とはしていないし、必要があればSNSやネット上のユーザー・レビューを見て済ませる傾向にある。良いのか悪いのかは別として、それが現実なのだ。
自作でパソコンを作る時など、『週刊アスキー』のお世話になった、という人も多いだろう。しかし、今や情報はネット上に、掃いて捨てるほど転がっている。パソコン通であればあるほど、ネットで情報を収集するだろう。『週刊アスキー』が電子版でしか残らなかったのは、ある種の必然がある。日本のパソコン好きのために、今までありがとう。
週刊アスキー 2013年 12月31日号