『親バカ日誌』
ラーメン、ツケ麺、ボク、イクメン! OK?
長寿少女漫画『パタリロ!』の作者としておなじみの魔夜峰央が、自身の家族をネタに描いたエッセイ・コミックといえば、『親バカ日誌』です。シリーズは、
2001年『親バカ日誌』
2005年『親バカの壁』
2006年『親バカ輪舞(ロンド)』
2008年『親バカの品格』
以上の計4作です。
主要キャラクター、つまり魔夜峰央の家族構成にあたるわけですが、夫・峰央と妻・芳実、そして美貌に恵まれた2つ歳の離れた2人の子供(姉と弟)です。連載スタート当初、子供たちは小学生でした。要するに、魔夜峰央の育児日記なのですが、そのため、従来の少女漫画の読者とは異なる層にも、つまり家庭を持っている、もしくは持とうとしている男性にも、大いに楽しめるエッセイとなっています。
なぜ楽しめると断言できるのか、と言いますと、だってあのギャグ漫画の大家(「おおや」ではない)、『パタリロ!』の作者が描いているのですから。無論、それだけではありません。小さな子供を抱える親が遭遇するであろう、嬉しいことや悲しいこと、不思議なこと(部屋の中になぜか鉄パイプがあるなんて、独身では、まあ有り得ませんからねぇ)が面白おかしく、しかも絶妙なテンポ(ここ重要です)で描かれていることも、要因のひとつです。
もっとも、子供たちが小中学生の頃はともかく、10代後半ともなると、それぞれ行動範囲が、親の目の届かないところへ広がるもので、マンガから家族は次第に姿を消してゆきます。そしてその代わりにパタリロが出てきます。前半2作と後半2作では、内容は別物と思ってもらって構わないでしょう。
では、後半2作は、タイトルに偽りアリなのか、駄作なのか、と問われれば、そんなこともありません。作者と宝石についてのエッセイが収録されていたり、魔夜峰央の独特なマンガの描き方が描出されていたりして、魔夜峰央の壮年の記録として、これはまたこれで楽しめるというものです。愛妻家であり、元・イクメンでもある魔夜峰央のことですから、家族が全く出てこない、なんてこともありませんしね。
作品情報
・作者:魔夜峰央
・出版:白泉社
・2001年『親バカ日誌』
・2005年『親バカの壁』
・2006年『親バカ輪舞(ロンド)』
・2008年『親バカの品格』
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『まんが道』
戦後の日本のマンガ史を、伝える