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『南国少年パプワくん』
『月刊少年ガンガン』の基礎はここにあり?

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少年マンガ誌『月刊少年ガンガン』のマンガというと何が真っ先に思い浮かぶでしょうか。きっと年代によって、人によって様々でしょうね。ある人は『魔法陣グルグル』を挙げるでしょうし、またある人は『鋼の錬金術師』を挙げることでしょう。ちょっとコアな人になると「いや、何を置いても『4コママンガ劇場』だろ」とか言うかもしれませんね。どれが正解でどれが間違いなどはありませんので、念のため。

私なら『南国少年パプワくん』を挙げるわけです。幼少の頃にこの作品に接したという個人的な動機もありますが、実は今作こそ『ガンガン』に連載されてきたマンガの基礎を構築した作品と言えるのではないか。そう考えられるからです。

もともと『ガンガン』はゲーム・メーカーのエニックス(当時)が出版界に進出した折に発行した月刊誌です。最初は攻略本などを出していたエニックスはそれを下地にしてマンガ業界に打って出ました。『ガンガン』創刊は1991年3月。当初はゲームありきの月刊誌だったのです。しかし柱がゲームのコミカライズ一本だけでは、他社に同じ路線を踏襲されれば、早晩、下火になるのは明白です。他の魅力を持たせねばならない。期せずして、ゲームのマンガ化でもなければ原作があるでもない、ギャグ・ファンタジーの傑作が『ガンガン』誌上に打ち出されました。それが『パプワくん』だったのです。

『パプワくん』の連載は1991年3月に始まりました。そう、掲載誌の創刊と同時期です。作者の柴田亜美さんは、これがプロとして初めての連載。最初の2話は、会社員をされながらの連載だったそうです。

推測ですが、編集部は今作にはさほど期待していなかったと思います。うちのメインはドラクエだから、脇を支えてくれれば十分だよ。それくらいの期待値だったんじゃないでしょうかね。ところがそれが、翌年にはアニメ化されるほどの立派な看板になった。

『パプワくん』のあらすじはこうです。自身が所属していた組織ガンマ団から「秘石」を盗んで船で逃亡しているシンタローは、とある島に辿り着きます。そこはパプワ島という、いずれの国家にも帰属しない不思議な島でした。島に住む無表情な少年パプワくんと愛犬チャッピー、そして喋るカタツムリなどの不思議な生物が、シンタローを出迎えます。組織からの刺客も加わり、盛り上がるパプワ島。しかしパプワ島と「秘石」には、実は密接な繋がりがあったのです━━。

おそらくですが、これが『ガンガン』の基本ライン(のひとつ)になったのだと思います。いつともしれない時代、どこともしれない場所を舞台にし、コミカルな日常を展開しながらも全体的には一本筋の通ったファンタジー。後発の『グルグル』も『ハガレン』も、このラインの延長線上にあると言えるのではないでしょうか。

もちろんそういった作風は柴田さん以前にもたくさんありました。決して彼女のオリジナリティというわけではない。ギャグ・ファンタジーは少年マンガの基本とも言えるわけですから。しかし『ガンガン』に限って言えば、草創期にそのラインでポピュラリティを獲得し、ラインとして確立させたのは、まぎれもなく『パプワくん』だと思うわけです。

作品情報

・作者:柴田亜美
・出版:エニックス
・連載期間:1991年3月~1995年5月






 

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