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■ 10月31日から11月29日にかけて、「メモワール」をフィーチャーします







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『旅の途中』
スピッツの20代と30代

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スピッツは日本の4人組バンドです。1987年に結成、1991年に当時のポリドールからメジャー・デビューを果たしました。もっとも、その頃のことをリアルタイムで知っている人はそんなに多くないでしょう。それくらい当時のスピッツは目立たない存在でした。

しかし1995年、その状況が一変します。この年の4月に彼らが出したシングル「ロビンソン」が100万枚以上を売り上げ、オリコン・チャートの年間トップ10に入ったのです。この大ヒットにより、一気に「スピッツ」の名前は世間に浸透。以降、コンスタントに作品を発表しながら、2020年現在に至るまで、彼らはメジャー・シーンを歩き続けてきました。



スピッツの11枚目のシングル「ロビンソン」(1995)

2007年11月、結成20年目の記念碑的な形で、彼らのこれまでを、4人それぞれが振り返ったメモワール『旅の途中』が幻冬舎よりリリースされました。本書は2020年11月現在、絶版になっています。文庫化もされていません(電子書籍化はされていますが)。本書を紙媒体で読もうとすれば、今のところ図書館で借りるか中古市場で手に入れるしかありません。

スピッツを構成するメンバーは、ヴォ―カルの草野マサムネ、ギターの三輪テツヤ、ベース・ギターの田村明浩、ドラムズの﨑山龍男です。これは結成した当初から変わっていません。本書ではこの4人がそれぞれに昔のことをクロノロジカルに語ります。

著者名は「スピッツ」となっていますが、本人達が原稿を書いたのかは分かりません。幻冬舎の編集者あるいは下請けライターがメンバーにインタヴューして、それを口述筆記したのかも知れませんし。ただ、それにしては、活字面で「ヴが統一されていない」のが、やや気になるところです。

英語表記にしたときにvになるところは「ヴ」表記にする、ということがあります。たとえば、vocalは「ヴォ―カル」というように。もちろんこれは自由裁量で、別に「ボーカル」と書いても何の問題もありません。ただ、vを「ヴ」にするなら、該当する箇所は洩れなく「ヴ」にしないと、統一感がなくなる。それが「ヴが統一されていない」問題です。まぁ20世紀末ならともかく、現在では「問題」にする人もあまりいなくて、こういう指摘は「重箱の隅をつつく」と言われるような風潮ですが。

本書で書かれていること、語られていることについて、私は何も言う気はありません。その叙述をどのように捉えるか、スピッツの面々のパーソナリティや歴程についてどう感じるかは、あくまでも読者の感性に委ねられてしかるべきだと思うからです。

スピッツの面々は、いずれも1967年生まれです。出身地こそばらばらですが、彼らは「同年代」という共通項を以てバンドを組み、歩みを進めてきた。そのこと自体はそんなに珍しくもありません。私が言いたいのは、本書が上梓された2007年は、スピッツ結成20周年にあたると同時に、彼らが四十路に差し掛かる年だったということです。

2007年において、スピッツはメンバーそれぞれにとっての20代、30代そのものでした。その20年間こそが(出版当時の)スピッツであり、なればこそ、その歴史を包括的にレヴューする意味合いも込めて、このメモワールは企画、出版されたはずです。

作品情報

・著者:スピッツ
・発行:幻冬舎







 

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