内容は、AV女優たちの連載や袋とじなどが語るようにエロス、そしてヤクザ絡みのヴァイオレンスと、有名人たちの醜聞に終始している。そもそも発行元の双葉社自体が、「大衆娯楽の殿堂」をモットーに1948年、設立されたのだから、娯楽誌としては筋金入りだ。
とはいうものの、とどまることのない出版不況の波は、『週刊大衆』にとっても他人事ではない。2015年4月、『週刊大衆』(双葉社)は電車の中吊り広告出稿を取りやめることを、同誌の公式ツイッターで表明した。
週刊大衆 2015年 9月7日号
理由としては、確かに、必要経費の高騰や出版不況などがあると思う。電車の中吊り広告とて、(スマホやタブレットの普及により)見る人は以前より減った以上、広告として割高になっているというのもあろう。しかし、それだけではないはずだ。
ユーザーが減った最大の理由は、雑誌独自の持ち味がない、というのがあるのではないか。『週刊大衆』にはエロも暴力もある。でもそれは『週刊実話』など、他でも替えが効くのだ。紙媒体の雑誌を見る人口が減っている以上、それでは共倒れになる可能性が大である。エロだけで言えば、ネットで検索した方が、より刺激的な写真を際限なく、しかもタダで閲覧できるわけだし。
2015年4~6月の発行部数は20.5万部と、週刊誌の中では『週刊文春』や『週刊新潮』の半分にも満たない(日本雑誌協会調べ)。これらトップクラスの週刊誌は、それぞれ独自の持ち味や路線を踏襲しているわけで、今後紙媒体として生き長らえることを考えるなら、『週刊大衆』の課題は、正にそこにある。どこまで大衆に寄り添いながらオンリー・ワンになれるか、だ。