よしたにの筆(タブレット)による『ぼくの体はツーアウト』は、よしたににとって初の商業誌での連載エッセイ漫画となりました。内容は、三十路を越え、健康診断で「危険な三高」とされる高血糖、高コレステロール、高尿酸のうち、二高を達成した男性作家(作者)が、健康体を目指してチャレンジを繰り返す様子が描かれています。
作者は、エステ、心理カウンセリング、料理、運動など、色々な側面から健康に挑みます。どれも取材費扱いでトライしているとはいえ、なんとも豪勢です。いくつかは無料トライアル期間を使ってチャレンジしているわけですが、とにかく手間とカネを掛けている印象を受けました。
でも、それが成功して健康に近づくかと言えば、そうでもありません。作品のテーマ上、ある程度の不健康でなければ、そもそも連載の意義が無くなるとはいえ、どうにも、よしたにという人物が、健康でハッピーな生活に近づいているムードがないのです。あったとしても、刹那のことのよう。
それは裏を返せば、日本に数多ある健康商法のほとんどは、使う価値が無いということです。健康になるために、会員になったり、診断を受けたり、そこに何十万、ひどい時には百万円以上、おカネを掛けないといけなかったりします。しかしその大半は、金額に見合わない、無意味なものと、奇しくも今作で証明されたわけです。