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■ 3月31日から4月29日にかけて、時計をフィーチャーいたします。







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伊勢神宮
三重県伊勢市に佇む神の宮

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三重県伊勢市にある伊勢神宮。私事ですが、〇〇年代半ばに一度だけ訪れたことがあります。一生一度は伊勢参り。そういうので、父が伊勢神宮に行こうと思い立ち、同行した次第です。当時の父のクルマ、三菱のランサー・セディア(たいへん乗り心地の良いクルマでした)で、大阪から三重までのドライブ。そこから十余年が経ち、もうメーカーでは修理ができないからと、ランサーは手放されたのですが、代わりに父が購入した三菱のコンパクト・カーは、率直に言って乗り心地がすこぶる悪いですし、ガソリン代も馬鹿にならない御時世ですから、父と伊勢までドライブする機会は当面なさそうです。



伊勢神宮の内宮の正殿

出典:Naiku 001.jpg
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2013年10月4日)


肝心の伊勢神宮はどうだったのか? 言い出しっぺの父にはもしかしたら深い感慨があったのかもしれませんが、当時二十代前半だった私は、宗教心をそんなに持ち合わせておらず(じゃあ今は宗教フレンドリーなのかというと、どうかなぁと首を傾げますが)、そのためか、神宮の様子があんまり思い出せないのです。確かに行ったはずなのですけど。

どこかの記事にも書きましたけど、〇〇年代前半、大学生だった私は女の家に転がり込んでいました。彼女は三重県松阪市出身で、付き合っている時に一度だけ彼女の実家にお邪魔したことがあります。大学二回生の夏休み。どこまでも無軌道にお気楽な頃でした。伊勢神宮に行ったのは、彼女と別れてしばらくしてのことですから、当時の私は「また三重に来たんだなぁ」とか、内省的にしみじみ思っていたのかもしれません。

「その思い出話が伊勢神宮と何の関係があるんだ?」と訝るのも無理はないのですが、それを説明する前に、まずは「伊勢神宮とは何ぞや」です。



伊勢神宮の外宮境内にある風宮

出典:Geku Kazenomiya Ise-jingu Grand Shrine 02-r.JPG
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2019年5月23日)


伊勢神宮というのは俗称で、正式名称は単に「神宮」なのだそうです。本邦における唯一無二の神の宮。神社本庁は伊勢神宮を「本宗」としていて、ということは神社本庁の管轄下にある全国約八万の神社にとっても、伊勢神宮は家元的な存在にあたるわけです。

さて、伊勢神宮には内宮(ないくう)と外宮(げくう)があるのですが、いずれも祀っているのは女神なのだそうです。内宮には皇室の祖先とされる天照大御神が、そして彼女の食事を仕度するために造られた外宮には豊受大御神が、それぞれ祀られています。また、伊勢神宮は伊勢市内外に百二十以上の別宮や摂社などを持っていますが、そのうちの四十以上がやはり女神を祀っていて、そうなると神宮とは、「女神の社」であるかもしれないのです。

これはそのスジでは常識であるらしく、伊勢神宮で禰宜を務めた櫻井勝之進さんは著書『神道を学びなおす』(神社新報社、二〇〇五年)で、以下のように言い切っています。

「あらゆる生命の源というものは女性にある」

生物学的には「必ずしもそうじゃないのでは?」と半畳を入れたくなるかもしれませんが、私達哺乳類は確かにメスから生まれますし、また個体としてもメス(女性)がデフォルトだと言われています。つまり、人間の基本形は女性であり、男性はオプションというかバグというかなのです。私達はいずれも女性から派生したのであり、また、実際に女性から生まれた。これは間違いのないところですから、そう考えると櫻井氏の叙述は「まぁそうですね」というものでしょう。

そういえば、女性には生まれつき子宮という「宮」があります。〇〇年代後半に伊勢神宮を「パワースポット」とする向きがありましたけど、別にああいうスピリチュアルなブームがなくても、生命を育む最強のパワースポットを女性は生まれつき持っているのです。それで生命を育むか否かは人によりますが。

こう考えてみると、私に伊勢神宮での記憶がほとんどないのも無理はない気がします。なにしろそこは「女神の社」なのです。しかし私は当時、昔の女に気を散らしていたかもしれなくて、そんなの、女神様にお参りする段においては言語道断ではないでしょうか。つまり当時の私は、伊勢参りをするには不適格だったのかもしれないのです。

聞けば、神社にはおみくじが付き物ですが、伊勢神宮にはおみくじがないそうです。かつて「私幣禁断」と言われたように、伊勢神宮は祈願のための場所ではなく、御礼参りをする場所。つまり、良いことがあった暁に伊勢神宮へ参るのが本道なのです。その点でも、当時の私は伊勢参りをする資格が欠けていたと言えるでしょう。いつか改めて参る機会があるといいのですけれど。






 

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