日本国内で服を作っているメーカー(ブランド)など、いくらでもというわけではないが、結構な数があるに違いない。その中から選ばれてこのサイトで紹介されるものとそうでないものがあるわけだが、ではその選考基準はなんだ。所詮あんた(書き手)の趣味じゃないのか? そう決めてかかっている読み手も、もしかしたらいるかもしれない。
そこで━━というわけではないが、今回俎上に載せるのは、私の趣味とは隔絶したブランドになる(私の趣味と隔絶しているからなんなんだという気もするが)。一九九九年創業の「ループウィラー」である。
まずループウィラーとは何か?
簡単に言えば、国内でスウェットを製造し、それを販売するブランドである。とはいえ、その出自や経歴を見ると、純粋な意味での「日本のブランド」とは言いにくいところもあるかもしれない。先に九九年創業と言ったが、草創期に彼らがブランド展開したのは、日本国内ではなく海外、イギリスだったからである。

BEAMS PLUS別注 LOOPWHEELER - Sweat Boat Neck
色:オートミール/サイズ:S~XL
税込19,800円(2025年9月時点)
別にブランドのプロデューサーやオーガナイザーがイギリス人だったとかではない。〇〇年前後のイギリスというのはちょっとした「日本ブーム」で、日本のモノを紹介したり販売したりするのが流行っていたようなのである。九五年以降の円相場がおおむね円安で推移していたからだろうか、理由はよく分からない。言われてみるとたしかに、九〇年代末期にはザ・イエロー・モンキーやサッズなどの日本製バンドが、現地で大して知名度があるとも思えないのに、イギリスでコンサート・ツアーを開催していたなと思い当たる。あれは英国内の「日本ブーム」に便乗した興行だったのかもしれない。
当時の英国内では、日本独特のモノ(たとえばカップ・ヌードルなど)が大量に陳列されていたという。その衣料品部門(というか)で、ループウィラーの服が並び、いくらかのイギリス人の目にとまった。それからしばらく英国での展開が続き、それを目にした日本人から「うちでも欲しい」という声が、ちらほらとかかるようになる。
こうした要望に応える形で〇二年、ループウィラーは東京の目黒区中目黒に、国内第一号店舗を構えた。なんだか「ブランドの逆輸入」みたいではあるが。ちなみに今はその中目黒の店舗はなく、東京店は渋谷区千駄ヶ谷にあるのみ。ほかは大阪店、福岡店と、国内に三店舗がある(二五年九月時点)。

BEAMS PLUS別注 LOOPWHEELER - Extra Light Plus Sweat Cardigan
色:H.GRY/サイズ:S~XL
税込24,200円(2025年9月時点)
もちろん、彼らのスウェットが日本国内で作られている限り、それは疑いなく「日本製」である。しかしリアルタイムで彼らの黎明期を見てきた人にとってループウィラーは、どこか「ヨーロッパのブランド」感があるのではないか。純粋な意味での「日本のブランド」とは言いにくいところもあるかも、と前述した理由はこれである。
と、ここまでの話で疑問に思う人もおられるだろう。スウェットは一九二〇年代のアメリカに端を発する服である。だったら「良質なスウェット」なんて、欧米のメーカーなりブランドなりで量産できるはずじゃないか? なんでわざわざ日本製のスウェットを欧米人が求めるのか?
二十世紀半ばのスウェット(今やそれらは「ヴィンテージ」と呼ばれる)は、吊り編み機という機械で生産された生地で作られていた。しかし、この機械は一時間に一メートルほどしか編めない、事後的に見れば「非効率極まりない」とされるものだった。だから七〇年代以降の大量生産、大量消費の時代になると、高効率な次世代機に取って代わられ、巷間から姿を消してゆく。
かくしてアメリカはもちろん、世界的に吊り編み機は失われていったのだが、日本の和歌山にはそれがまだ残っていて稼働していた。決して効率的ではないかもしれない。でも吊り編み機で編まれたスウェットにこそ宿る固有の着心地の良さというのが確かにある。だからこそ、前世紀半ばに作られたスウェットが未だにヴィンテージとして世界中で愛用されている。だったら吊り編み機を最大限に活用して、世界的にもレアとされる「本来のスウェット」を日本から展開しよう。それがループウィラーの根っこにある精神だと私は思う。

LW01 丸胴吊り編みクルースウェット
色:グレーメランジ/サイズ:S~2XL
税込22,000円(2025年9月時点)
スウェットに何を求めるかは人それぞれである。スウェットを消耗品と捉えるなら、つまり安さを重視するなら、近所のスーパー、しまむら、ユニクロなどをあたればいい。たぶん五千円以下で買える。でも本来的な、オリジナルなスウェットを求めるなら、多少値は張るとしても(効率を犠牲にしている以上、彼らのスウェットは安価にはできない)ループウィラーのスウェットは視野に入れざるを得ない。それが彼らの強みなのである。
ちなみになぜ「私の趣味から隔絶している」かというと、そもそもスウェットを着る習慣が私にはないからである。これは個人的な好みだから、差し当たりどうしようもない。いつかスウェットを検討する機会があれば、その時に経済的にゆとりが多少なりともあれば、ループウィラー大阪店を覗いてみようかなと思ってはいるが。