石垣島がある八重山地方では、旧盆を「ソーロン」と呼び、此岸(この世)の人々と彼岸の人々が一緒に過ごすための行事がおこなわれます。死者の仮装をした人々が家々を訪れ、踊りや問答を以って祖霊を供養する「アンガマ」が、それにあたります。
ウシュマイ(おじいさん)とンミー(おばあさん)が、子孫(ファーマー)を連れて、現世にあらわれます。そして、保育園やホテル、お祝いごとがあったお家、あるいは新盆(その家の誰かが亡くなってから初めてむかえるお盆)をむかえるお家などを訪ねて歩き回るのです。

ファーマーたちは三線や笛などの楽器を演奏しながら、ウシュマイとンミーの仮面をつけた二人の後をついて回ります。そして家の縁側からむかえられて、その家の仏壇に拝んだ後、念仏踊りを披露するのです。その合間、ウシュマイとンミーによる珍問答がおこなわれ、これを聞くのを楽しみに集まる人も多いのだとか。
お盆とは、もともと亡くなった先祖が彼岸から此岸に帰ってきて、生者と共に数日を過ごす期間とされてきました。「アンガマ」はそういった昔ながらの考え方に基づいたイベントであると言えましょう。
「アンガマ」の一行が、いつごろ何処に出没するか、大まかなスケジュールは事前に地元の新聞や広報誌に掲載されます。これらの情報をたよりに見物客は「アンガマ」を見ようとするのですが、時間や訪問先が突然変更されることも珍しくはないそうです。

また、運よく(?)「アンガマ」の一行に出会えたら、見物客や観光客も、一般の個人のお宅の庭で、自由に見物できます。もちろん、マナーは守らなければいけませんが、こういったおおらかさが何とも沖縄らしくて、うらやましいと思います。