「阿波おどり」とは、毎年8月の12日から15日にかけて開催される、全国的にも有名な、徳島県発祥の盆踊りのお祭りです。かの地ではすでに400年以上の歴史がありますが、今では全国各地に広まっています。
笛、三味線、太鼓が奏でるお囃子(はやし)に合わせて、男女がそれぞれ別の踊りを演じます。男性はゆかたを着て踊る「ゆかた踊り」と、半天(はっぴのこと)を着て踊る「半天踊り」の二種類のうち、どちらかを踊ります。ただしこれらは厳密に定義されているわけではなく、少女や女性が踊り手となる場合もあるとのこと。
いっぽう女性は、女モノのゆかたを着用して、下駄をはいて、「鳥おい笠」と呼ばれるあみ笠を深くかぶり、女踊りを演じるのです。品をそこなわず、美しく踊ることが肝心らしいです。
もともと盆踊りは、浄土宗の一遍上人(いっぺんしょうにん)が、阿弥陀如来という仏様を信仰する喜びを踊りとして表現した「念仏踊り」に端を発します。阿弥陀如来が死んだ人間を極楽浄土へ案内してくれる、このことから、死者を供養するその土地その土地の盆行事と結びつき、盆踊りとして定着したのです。
現代の盆踊りは、そういった祖霊信仰に基づいたものというより、地域特性を活かした観光イベントになっている、との指摘もあるそうです。宗教心を大事にしろよってことを言いたいんでしょうね、きっと。
でもね、それだって良いじゃないですか。地域のイベントともなれば地域住民同士の結束が深まります。それが転じて、子や孫の代へと継がれるような文化が地域に根付く。それだって死者への立派な供養になるじゃないですか。時間は常に一方向にしか流れません。なら、その土地が共有される文化を持たない不毛の地になるより、地域のイベントが根付く方がよっぽど良いと思います。