こんにちは。本日のお題はキリンの「アルカリイオンの水」です。これまでの「
おいしい水 六甲」や「
い・ろ・は・す」では、なんとなく「環境問題を考えるコーナー」みたいになっていたので━━まぁそれも大事なことだとは思いますけど━━、今回は、そういうのとはちょっと違う方向性でお送りできたらなと思っています。どうなるかは分かりませんが。
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「アルカリイオンの水」
内容量:2リットル
硬度:約55 - 59
採水地:静岡県、岐阜県
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というわけで、「アルカリイオンの水」です。
商品名が「アルカリイオンの水」ですから、天然水ではないのか、と訝る向きもあるかも知れませんが、天然水みたいです。静岡県の御殿場市と焼津市、それと岐阜県岐阜市で採水した天然水を、工場で電気分解してアルカリイオン性にしているとのこと。
と、ここで化学に詳しくない私が気になるのは、アルカリって何? ってことです。困りました。商品名そのものがすでに意味不明です。
こう言うと、そんなことも知らんのか、と思う人もいるかも知れません。もちろん、アルカリという名称くらいは、聞いたことはあります。学生時代、理科の授業で「酸性、中性、アルカリ性」と覚えましたし、リトマス紙を使った実験だってやりましたからね。だから、酸性の反対(バカボンのパパみたいですね)なんだろう、くらいは想像がつきます。でも、じゃあ「アルカリとは何ぞや」を他人に説明できるかというと、上手くできない。
なので、まずはアルカリとは何かを考えたいと思います。
手元にある、三省堂の『新明解国語辞典』(第五刷)で「アルカリ」を調べてみると、「水酸化ナトリウム・水酸化カリウム・消石灰など、水に溶ける塩基性物質の総称」とあります。アラビア語の「al(定冠詞)+ kali(灰)」から来たのだそうです。英語で言うと「The Ash」でしょうか。なんか格好いいですね。レッチリやレディオヘッドの曲タイトルにありそう。
でも、私には「水に溶ける塩基性物質の総称」という説明が、そもそも分かりません。「どゆこと?」って感じです。
そういえば敬愛する養老孟司さんの本のどこかに「アルカリ」と書かれていたような、と思い出し、探しました。
「ヨーロッパの教会や墓地に骸骨があるのは、実はそれほど珍しくない。遺体に対する感覚が、日本人と西洋人では、はっきり違うことがよくわかる。自然条件の差がまずある。(略)パリの地質は石灰分が多いため、アルカリ性で骨が溶けにくい。普通に葬ったのでは、墓地がすぐにいっぱいだ。古い骨は掘り出して積んでおけば、その分土地が空く。自然条件と人間の事情がつながった結果が、パリの骸骨である。
日本は酸性土壌が多いから、100年もすれば骨はきれいに溶けてしまう。先祖を拝むのも墓石や位牌になるわけである。そう言えば日本の幽霊は半透明で足がなく、西洋怪談では“ドラキュラ”のように現物がよみがえる。なるほど、と思う」
(『養老孟司の旅する脳』小学館、2009年、p32-33)
ううむ、なんとなく分かったような、やはりまだ分からないような。要するに酸というのは物を溶かす働きがあると。それで、アルカリ(灰)は酸と反対の性質を持っているから物を溶かしにくいと、そういうことなんでしょうか(あまり話が前進した感はありませんが)。
ここから素人なりに推論を立ててみます。物を溶かしにくいアルカリは、酸の働き(物を溶かすこと)を中和するはずです。たぶん、そのはずです。ということは、たとえば、体内で胃酸が過剰に分泌されている人がいるとします。その人がアルカリイオン性の水を飲むと、胃酸の過剰さがいくぶんか抑えられることになるのではないでしょうか。
━━と思ったんですけど、よく考えると、それって難がありますよね。自分の体内とはいえ、どのタイミングで、どのくらいの濃度の胃酸が出ているか、的確に分かる人なんて、たぶんそんなにいないと思います。そのためだけにいちいち病院に行って「先生、胃酸が今どれくらい出ているか調べてください」ってわけにもいかないでしょうし。
つまるところ、自分の体内に酸性の物質が、いつ、どれくらいあるのかを随時把握していないと、アルカリイオンを採ってもそんなに意味はないような気がします。だからして、私の推論は(たぶん)外れです。あくまでも素人考えなので、よく分かりませんが。