品種: やぶきた
茶種: 後発酵茶
価格: 税抜500円(100 g)
おすすめの浸出時間: 1時間
まずは黒茶とは何なのか、というところですが、ここでの黒茶に使われるお茶の品種自体は、日本で最もポピュラーな「やぶきた」です。黒茶とは幽かに酸味が楽しめるお茶です。中国のプーアル茶(雲南省)を思い浮かべてもらえば、分かりやすいかも知れません。ちなみにプーアル茶も後発酵茶、日本では他に碁石茶(高知)などが後発酵茶の例として挙げられます。
富山県朝日町は、日本海を臨む茶産地。この地方では、新茶の時期ではなく、7月~8月頃、熟した茶を枝ごと切り取ります。それを蒸して、1カ月間ほど発酵、天日干しにて乾燥させて、出来上がりです。その茶葉は、煎茶のような細かい物ではなく、秋になれば散見される、その辺の落ち葉に似ています。
バタバタ茶とは、朝日町に伝わる、この黒茶の伝統的な飲み方のことと言われています。お茶を木綿などで出来た袋に入れ、煮出した汁を茶筅(ちゃせん)でバタバタと泡立てて飲むのです。泡立てることにより味も風味もまろやかさを増し、独特の口当たりを生むそうです。夏には冷やして飲んでもなかなかの風味とのこと。
元々はこのバタバタ茶、朝日町一帯の宗教儀式の一種だったようです。婚礼や出産などの際に飲まれる風習が、1400年代頃から脈々と受け継がれてきたそうですが、なるほど、四国などの他の地方の黒茶に比べ、すっきりしていて飲みやすく、かの地の集落の潤滑油として重宝されてきたのも道理です。