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■ 1月31日から2月27日にかけて、「少女漫画」をフィーチャーします。







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ハイチュウ
人によっては怖いかもしれないお菓子

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先生(以下、S):こんにちは。ついこの間年が明けたと思ったら、もう一月が終わろうとしています。若い人にとって一月といえば成人式でしょうが、最近は、地元の市民会館やホールが老朽化のために取り壊されたり工事中だったりして、地元で成人式を開けない町も少なくないと聞きます。そういえば、私が成人式に参加した市民会館も、何年も前に取り壊されてしまいました。今回もアシスタント(=A)と一緒にお菓子について、いろいろと述べていきたいと思うのですが、どう? 成人式の思い出ってある?



2021年に解体された鳴門市市民会館(徳島県)
File: 鳴門市市民会館.jpg
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2018年6月3日)

A:いやぁ、ほとんどないですね。式の後にちょっとした懇談会みたいなのが別室で用意されていて、そこで小中学校の同級生と再会したとかはありましたけど、男子は男子、女子は女子で固まってたせいか、そんなに盛り上がらない感じでしたね。あの会館も、そういえばもうなくなったなぁ。ところで今回の主題は何ですか、先生?



2024年に閉館になった岡山市民会館(岡山県)
File: OKAYAMA CIVIC HALL01s3872.jpg
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2008年1月31日)

S:森永製菓のハイチュウです。これは同社が一九七五年に販売スタートしたお菓子で、今年が五十周年のアニヴァーサリー・イヤーなんですね。だから、まぁやっとこうかなと。



A:あ~、これ歯の詰め物がくっついて取れそうになるやつ。ハイチュウってまだあったんですね、先生。

S:あるよ。昨年(二〇二四)からパッケージの商品名が英語表記になってるけど、まだ一般市場にあります。もともとハイチュウはずっと前から海外でも売られていて、それで名前表記を国内外で統一したんだそうです。松下電器がパナソニック表記に統一されたようなものでしょうか。商品のグローバル感を前面に出そうという意図があるのかもしれません。

A:いや、違うと思います、先生。

S:おお。というと?

A:ハイチュウのCMって、ジャニーズ(現スタート)のタレントがここ二十年くらいずっと起用されてるじゃないですか。つまり森永は、若い女性を主なターゲットにしている。で、最近の男性アイドルのグループ名って英語表記が主流じゃないですか。ビー:ファーストとかセヴンティーンとか。中には「これ、なんて読むの?」って表記も珍しくない。そういうトレンドに乗っただけのような気がします、先生。

S:なるほどね。そうかもしれない。森永製菓にも若い女性社員はいるだろうからね。ただそうすると、主なターゲットと規定される若い女性はともかく、それ以外の層の人達を遠ざけることにもなりかねないよね。だいたい少子高齢化が著しい時代に、若い女性をメイン・ターゲットにするやり方がどれくらい効果的なのかという話もある。果たしてどうなのか、真相は分かりませんが、まずはハイチュウとは何なのかを説明したいと思います。

A:そういえばハイチュウって、なんとも言いがたいお菓子ですよね。ガムというのでもないし、グミでもないしキャンディでもない。あれはなんなんですか、先生?

S:あれはチューイング・ソフトキャンディというものでして、チューイングガムとソフトキャンディのハーフみたいなものですね。キャンディというと、ノド飴とかサクマドロップスみたいな硬質のものを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、ああいうのはハードキャンディという部類にあたります。その反対に、キャラメルやマシュマロのような柔らかいキャンディ菓子を、ソフトキャンディと呼ぶわけですね。チロルチョコのコーヒー味ってあるでしょう。あの中身のコーヒーヌガーも、ソフトキャンディの一種にあたります。



A:ああ、そう言われてみれば、あのコーヒーヌガーの食感ってハイチュウと似てるっちゃ似てますね。あれとチューイングガムの合いの子がハイチュウというわけですか、先生。

S:まぁざっくばらんに言えば。昭和三~四十年代、森永は「チューレット」というチューイング・ソフトキャンディを出していました。そのずっと前の、一九三一年から彼らはガム菓子を出していましたし、十九世紀末に創業した頃からキャラメルを商っていましたから、チューイング・ソフトキャンディ用のノウハウは二十世紀半ばの時点で十分に蓄えられていたわけです。それで昭和も五十年代に突入した一九七五年に、チューレットのハイグレード版をということで出したのがハイチュウなんですね。

A:へぇ、森永ってガム出してたんですね。全然そんなイメージがないんですけど、先生。

S:今は出してないけど、昔は出していたみたいです。ガムは、たとえばシンガポールみたいに販売禁止とされている国もあるお菓子ですから、グローバル企業としては「取り扱うだけ損」みたいな感じなのかもしれません。でもこのハイチュウって、正直どう思う?

A:いや、子供の頃は食べましたけど、成人して以降はムリですね。さっきも言いましたけど、噛んでるうちに歯の詰め物がくっついて取れかねないんで、怖いんですよね。え、好んで食べます? 先生。

S:食べない。やっぱ怖いからね。まぁ森永もそこは分かっているからこそ、若い女性をターゲットに据えているのかもしれない。「成人した人には厳しいだろうな」とかね。あの粘着度がもう少しましになればいいんだけど、それをすると「じゃあグミでいいじゃん」となりかねないし、なにかと難しいのかもしれません。

森永製菓株式会社 - おいしく、たのしく、すこやかに




 

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これは「帯広のお菓子」である