本題に入りましょう。山形の郷土料理といえば「芋煮」です。山形では、夏が終わりを告げる季節、あちこちの河原で即席のかまどを作り、 里芋、肉、コンニャク等を入れた鍋料理を楽しむ会、通称「芋煮会」が催されています。毎年9月には、山形市内にて「日本一の芋煮会フェスティバル」なんて催し物まで開かれているほどです。
「日本一の芋煮会フェスティバル」
秋田県南部(つまり山形県寄りの地方)では、この芋煮の方が郷土料理としてポピュラーなのだそうです。これは秋田が山形に魂を売ったとかいうことではありません。一説によると、芋煮はもはや山形県のみならず、福島や宮城をも巻き込んで、青森を除く東北地方のソウルフードという地位にまでのぼりつめたとのこと。実際、山形や宮城では、秋になると、大学生協やスーパーで具材の販売はもちろん、鍋や着火道具の貸し出しサービスも展開しているそうです。
大阪の人間からすると、そこまでして芋の鍋、食いたいか? と思ってしまいますが、その土地ならではの文化なのでしょう。中でも中心的存在である山形の芋煮に対する情熱は洪大で、なんと海を越えて、ドイツでまで「芋煮会」が2008年以降、9月になると開かれています。企画者はドイツに住んでいる山形県出身者だそうです(「山形新聞」より)。ドイツに里芋があるのか??
豚肉と味噌味の芋煮鍋
ちなみに、山形をはじめとする東北地方で、里芋の栽培が盛んというわけではありません。事実、里芋の生産量トップ3は宮崎、千葉、埼玉です(平成24年度)。また、青森に「芋煮会」がないのは、ひと昔前の食用里芋の栽培に必要な最低温度より気温が低い地方だから、というのが定説です。